カメラマンとモデル
「お願いしまーす。」
ピピッ パシャ パシャ
この仕事について2年、私はカメラマンをしている。カメラマンといっても芸能人を撮るようなやつじゃなくて、通販の服や小物をメーカーに頼まれて撮っている。角度によって見え方も栄え方も違うし、モデルによっても違う。満足いく写真が撮れた時は本当に嬉しくて、この仕事が大好きだ。
「尾浜さん、入りまーす。」
後ろの方で声がする。今日、新しいモデルが入ってくると聞いていてその人の服、写真、編集まで担当することを頼まれていた。
「はーい!後ろの椅子に座って待っていてください。後、少しで撮り終わるので。」
カメラを覗いたまま返事をし、目の前の女性モデルの写真を撮った。キラキラしていて女の子の笑顔も素敵。アクセも靴も強調できた。うん、満足。
「この写真で大丈夫ですかね?…編集お願いしまーす。」
上司に確認しデータを渡し、新しいメモリーに変えて深呼吸をする。リセット完了!
「お待たせしました!尾浜さん…あれ?」
カメラを首にかけたまま、後ろを向くと新しいモデルの尾浜さんがいない…。トイレ?
「こっちだよー。」
自分の横にしゃがんで手を振りながらニコニコしている。
「びっくりした!まさか、そこに居るなんて思ってなかったです。何か気になることありましたか?」
歩みより尾浜さんに手を差し伸べ立ってもらうと手をぎゅっと握られた。
「いや〜。凄いなあと思って。データも後ろで見たけど別の人撮ってるみたいに綺麗だった。洋服にもきちんと目が行くし。」
私の顔が赤くなるのを感じた。直接褒められたのが嬉しくて、でもなんか照れてしまって。手をぎゅっと握り返した。
「嬉しいです!尾浜さんも素敵に撮らせてください!」
尾浜さんはびっくりしたように目を開き、私の言葉に嬉しそうに笑った。私の名札を見て
「よろしくね。川端さん!」
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