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風も無く、蒸し暑い空気が停滞する廊下。冬は寒くて適わんけど、夏もしんどい。こんな日の朝一の教室移動なん、勘弁してほしい。どうでもええ授業やったらサボるのに。


クラスメイトが群れを為して移動する、その最後尾。時間ギリギリなわけとちゃうし、焦る必要は無い。そう思って、群れから遅れてたらたら歩く俺の横。通り過ぎていく女子。

そいつがプリントを落とした。それに気付かへんまま歩いていく。

鈍臭い奴。そう思いながら、プリントを拾って、そいつを呼んだ。

「苗字」

突然呼ばれたからか、苗字は思いっきり驚く。
恐る恐るこっちへ振り返るそいつは、俺を視界に入れて、一層驚いた。

「えっ、は、はい……な、なんでしょう……?」

なんやこいつ。ハッキリ喋らへん奴やな。

苗字に拾ったプリントを突き出すと、怖々近寄ってくる。プリントの名前欄を確認して、それが自分のやと気付くと、また恐る恐る手を伸ばして俺の手から取って行く。
なんやねん。俺を猛獣やとでも思っとるんか。


「あ、あの、ど、どうも……」


あかん。
こいつの話し方、苛々する。



2012/03/10


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