彼女は軍服に袖を通す


朝、中央のとある一室で目覚ましの音が鳴り響いた。ナマエはまだ寝ている頭を必死に動かしながら、その音を消そうとベッドの中から手を伸ばす。なんとか目覚ましを止めた彼女は、まぶたを擦りながら布団から顔を出した。

「仕事に行かないと…。」

ナマエは、ぐっと背伸をして気合いを入れる。完全に目を覚ました彼女はベッドから降りると手早く支度を始めた。

ナマエにとって朝の少ない時間にどれだけ速く用意を出来るかが重要であり、これから1日が始まる。彼女は直ぐに用意を済ませると軍服に袖を通して急いで家を出た。

職場までの道のりでナマエは今日やるべき仕事をスケジュール帳を取り出して確認する。午後6時からの何時に終わるか分からない会議があることを思い出した彼女は、深いため息をついて手帳を閉じた。

家から中央司令部までは歩いて10分と近い場所に住んでいるため、直ぐに着くことが出来る。彼女は、余裕もって家を出ているため職場に着くのはいつも定時よりも早い時間であった。

ナマエは仕事場である大総統室の前に立つと扉を3回ノックしてから「失礼します。」と言い部屋に入る。中に入った彼女は、ソファーに座っている大総統の姿を確認すると驚いた顔で挨拶をした。

「…あっ!おはようございますグラマン大総統!ナマエ・ミョウジ只今出勤しました。」

自分よりいつも遅く出勤する彼がいるのが誤算であり少し驚いてしまった。いつもは失礼のないようにと早く出勤していただけに、少しだけショックである。

「おはよう、パール君。今日も早いね。ちょっと急用を頼まれてくれるかね?」
「はい。ご用件は何ですか?」
「朝っぱらから町でイシュヴァール人と市民が喧嘩してるそうなんだよねぇ…。ほら噴水のある公園ね。ちょっと様子見てきてくれるかな?」

大総統は少し微笑むとナマエの肩を「頼んだよ。」と言いながら軽く叩く。

本来なら大総統の補佐官である彼女にこの手の出動命令が出されることは珍しいのだが、軍全体がイシュヴァール政策に力を入れているので一応様子見で行ってこいといったところだろう。ナマエは「了解しました。」と敬礼すると支度を始めた。

彼女の任を受ければ、出来るだけ早く現場に着くべきだという考えから、銃を確認すると素早く行動に移したのである。

大総統室を出たナマエは、急ぎ足で廊下を歩く。急いでる理由は、目的地までは歩いたら時間が掛かるため車が必要だからである。

時間が早すぎて直属の部下がまだ誰も来ていないので、車の運転を頼める人物を探さなければならない。勿論、彼女自信運転は出来るのだが…非常に危険な運転をする事からなるべく避けたい。

どうしたものかと頭を抱えているとよく知る人物が前から歩いてくるのを発見して喜んで飛びついたのだった。

(今日はラッキーな日かも!)

ナマエはその人物に近づくと早速、車を出して欲しいとお願いするのだった…。



2015.1.19


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