My ex-home has been changed,but brings back memories.

懐かしきかつてのホーム。またここに帰ってくる日が来ようとは。もうここには二度と帰ってこれないと思っていた。まあ私死んじゃったんだもの。そう思っても仕方ないよね。

少年はエクソシスト、というわけで私を残して手続きをしに行った。いつまでかかるかわからないのにぼーっと待っていてもつまらない、なんて答えに到ったものだからティムキャンピーと本部内を散歩することにした。
内装が100年前と変わった場所がいくつもあった。こういうところで時の流れを感じさせられる。年寄り臭い台詞だって?しょうがない、実際に年寄りなんだもの。


「おやぁ?君は確かメアリーちゃんだっけ?」


中央テラスから身を乗り出して暗い階下を眺めていると、アジア系の男性から名前を呼ばれた。ベレー帽に目が行く。可愛い帽子…。確か本部の室長を名乗っていた人だ。

「あなたが室長だっけ?」「そうだけど」それはちょうどいいな、と思いながらポケットに押し込んでいた手紙を一通、差し出した。


「ルベリエ家にこの手紙を届けて欲しいのだけれど…。室長のサインもここに頂けると助かるな」


クロスからも書いてもらったけど、やっぱり信用に足るように署名は多い方がいいと思うから。

ルベリエの名を出すとわかりやすいほど彼は顔を顰めた。好ましくない感情でも抱いているのだろうか。ともかくそれは一旦置いておいて、手紙は届けてくれるらしいからまずは一安心。

にしても彼は随分と若い室長だ。私が教団にいた頃はもっと歳を重ねていた人だった気がするのに。きっと彼は優秀な人なんだろう。彼に続いて若い職員はもっといる。当然だけれど、私ほどの古株はいない。ほんの少し、寂しい。

△▼△▼

少年は今日、エクソシストとしての初任務。ティムキャンピーも同行したから、私は教団でお留守番。ちょっぴり、寂しい。

ぶらぶらと教団内を歩き回って、中央エレベーターのところへ到達した。レバーを操作し、下へ下へ。やがて停止したその前には、蛇のような聖女がいた。私から彼女の目を直接見ることはできないけれど、恐らく会ったことのない少女が一人でここに来たことに、驚きで瞠目していることだろう。


「何年ぶりの再会だろうね、ヘブラスカ」
「お前は…まさか…!」
「メアリー、メアリー・ホワイトだよ、ヘブラスカ。嗚呼、本当に懐かしい」


私がまだ人間だった頃の友人にまた会えるなんて。今日はなんて素晴らしい日なんだろう。少年に置いてけぼりにされた気分も一気にすっ飛んだ。


「なぜお前が生きている。それにその姿…お前は死んだはずでは…」
「ああヘブラスカ、再会は心から嬉しいのだけれど、あまり近寄らないで。折角のいい気分が台無しになってしまう」
「つまりお前は…成る程、それなら、いくらかのことに納得がいく。……だが」
「勘違いしないで。ちゃんと私としての自我はあるよ」


まあ普通では考えられないことだからね。いつかちゃんと説明しようと思う。わかる範囲で、だけどね。

それにしても人間だった頃の知り合いに会えたとなると積もる話もたくさんある。紅茶とお菓子を一緒に長く語り合いたいものだ。


「ところでヘブラスカ。君は少年に何という予言を下したのだっけ?」
「少年?」
「アレンのことだよ」
「アレン・ウォーカーか…」

「時の破壊者になるだろう、と」


これはまたけったいな予言になったもんだ。少年の運命はまったくもって過酷だね。思わず苦笑してしまうよ。

長く共に過ごせば情も湧く。つらく厳しい時がこれからの少年には待ち受けている。なんだかなぁ、という気持ちだ。私はアレンのように優しくはないから、誰かのために、世界のために、何かをすることはできない。そも、するつもりもない。だってカミサマなんて信じていないんだもの。

私は私にできることはなんだろう、と考えるほど高貴なものではない。やりたいことを、やりたいように、好きなだけやる。そんなものだろう。
ここは黒の教団。100年前の私のホーム。収集された論文の数は増えただろう。かつてのラボはまだあるだろうか。ここは色々と変わってしまったからね。


「話したいことはたくさんあるのだけどね、ヘブラスカ」
「何だ?」
「とりあえずまず、私はまたここで研究ができると思うかい?」


何拍か置いて、彼女は深く溜め息を吐いた。「相変わらず研究好きだな」こう見えて科学者を生業としていたんだもの。当然でしょ?

prev next
back


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -