パフィオペディラム:思慮深さ

綱吉クン達に覚悟をしっかりと自覚させたでしょ?ボンゴレ匣の真の力を使えるようになったでしょ?7³の共鳴で結界も張れたでしょ?ボンゴレリングの枷も外れたでしょ?もうすぐだな。やっとだな。なんて、なんだかウキウキしてきちゃった。こんなんじゃ、不誠実な人間と言われても仕方ないね。


「白蘭。私も……あなたもまた、世界に縛られた可哀想な人」
「……」
「…ごめんなさい。私、あなた一人に……」


どうして君が謝るのさ、ユニちゃん。君は何も悪くないだろう?大空のアルコバレーノとして、君は立派に使命を果たした。

ユニちゃんは自分を犠牲にして、アルコバレーノの復活のためにおしゃぶりに命の炎を注いだ。まだ小さいのに。悲しいね。…ま、それもこれもぜーんぶ、ボクのせいなんだけどさ。


「ゴメンネ、ユニちゃん……」


ウキウキしてきたことはホント。でもなんだかとても悲しくてさ。哀しくて。
悲しいって言や、正チャンに裏切られたのも正直悲しかったな。こう見えてボク、正チャンのこと好きだったんだよ?ホントさ。


「お前のせいで…!お前のせいでユニは死んだんだ!」


綱吉クンの怒りもわかる。そうボクのせいさ。何もかも、ボクが仕組んだこと。

仲間想いの君なら、きっとこのくだらない劇に終演を導いてくれるだろう。さあ、もう一度道化師のような笑みを浮かべて。ボクは悪役。綱吉クンはヒーロー。これがこの世界の有り様なのさ。どうやったって覆りようがない。

全てを包み込むような、大空の橙色の炎がボクの視界を埋め尽くした。ああ、これで終わりなんだ。


「綱吉クン。ボンゴレリングの正当なる適合者にして、ボク達と同じ7³の大空。ボクは君のことをずっと、ずっと昔から…」

「愛おしく思っているよ」


▽▽▽


「白蘭は、ずっと一人で戦っていました…」

「確かに、平行世界の白蘭は悪逆を尽くしてきました。でもこの世界の彼は違うんです」

「沢田さん。どうかあの人のことを誤解しないでください。あの人は昔から、自分以外の大空のことを想ってきていたんです。誰よりもただ、私達のことを想って…」

「未来に来て、沢田さんは何を思いましたか?そしてそれは、沢田さんのためになりましたか?」

「白蘭は沢田さんの成長を願っていました。そして私に使命を果たすための覚悟を、与えてくれました」

「どうか忘れないで……彼もまた、大空なのだということを」


パフィオペディラム:気付かれない心配り

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