*小梅、行く*

くるくるくる。紅色の傘を回す。昔船長から貰ったこの番傘は私のお気に入り。うふふ。自然と笑みが零れる。今日はご機嫌な天気だからついつい私もご機嫌になっちゃう。

短い船旅の戦利品と笑顔を携えてこのオレンジの町の地を踏みしめる。あのお馬鹿さんは今日も海賊らしく笑っているかしら。

酒場の屋上にて、お世辞にも可愛いとは言えないムサイ男衆が酒を、食べ物をかっ食らっている。ガヤガヤと騒ぐ彼らはサーカスの一団のような出で立ちをしている。何を隠そう、ここは私が所属する一団の拠点。一団の名前をバギーサーカスだ「バギー海賊団だ!」……そう、海賊団。今私の独白にツッコミを入れたデカッ鼻の彼の名前は「誰がデカッ鼻だとォ!?」
「もう!一々うるっさいのよ!!」
「テメェがおかしなこと言ってるからだろうがァ!!」


あらやだ。私ったらいつの間に口に出していたのかしら。失態失態。けど喧しいバギーの口は首をちょんぱることで閉ざしておくわ。ギャー!という悲鳴が心を揺さぶるの。ゾクゾクしちゃう。


「ったく…やーっと帰って来たのか、ナマエ。十分気は済んだのか」
「ふふ。今回のも弱かったわぁ」


やっぱり最弱と言われるだけあって東の海には骨のあるやつがいないのよね。つまぁんない。次はどこの海賊を潰そうかしら?今はとりあえずバギーの腕を斬るだけで我慢しておくわ。


くるくるり。「姐御!おけぇりなさい!」「はぁいただいまー」「お疲れ様です、姐さん!」「ご苦労様ー」私の好きな紅色が頭上で回転する。どこへ行くんだ?っていうバギーの問いに振り返らずに散歩って返した。

ドカーン。バギーったらまたバギー玉を撃ったのね。後で両足を斬っちゃおう、っと。

うっふふ。船長。私の船長。バギーは今日も高らかに大砲を撃っていて、私は今日もお気に入りの番傘を振り回してます。


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