一文惜しみの百失い(1/4)


今日は沢田くん達は町に出掛けて、自分達の家を見に行くらしい。私は遠慮した。特に思い入れがあるわけでもないし、聞かなければいけないことがあるから。

メローネ基地跡にいる入江さんを訪ねた。チョイスに向けて色々と準備で忙しい入江さんを呼び寄せる。


「どうかしたかい、アルさん?綱吉くん達と合流して特に危害があるようなことはなかったし、僕の護衛はなくても…」
「なぜ、私を未来に連れて来たのですか」


ずっと、聞きたかったことだ。私はヴァリアー。ボンゴレリングを持っていない。なのになぜ連れて来られたのか。戦力にするには未来の私の方がよかっただろうに。護衛として依頼されたのに、今はその役目などないに等しい。

入江さんもいずれ私が尋ねるであろうことは予想していたのだろう。苦笑しながら頭を掻いた。


「本来ならアルさんを巻き込むはずじゃなかったんだ」
「けれど私はこうしてここに立っています」
「うん。…君はどこからか僕達の計画を聞きつけて、是非とも自分も過去の自分と入れ替えてくれ、って言ったんだ」


内緒の計画を聞きつけられたことも驚きだったけど、自分から入れ替えてくれなんて言われるとは思わなかった、と入江さんは言った。それは私自身も。


「なぜ、私は……」
「未来の君は、過去の君に『大切な何か』を気付かせるため、って言ってたけど」


詳しくは僕もわからないんだ、と言った入江さんにお礼を言った。彼は忙しい人だ。これ以上時間を割いてもらうわけにはいかない。

自分のことなのに、なんでこんなにもわからないのだろうと上着のポケットの中の小箱に手を触れた。


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