金が物言う(1/2)


父にマフィアに売られ、そこから点々とマフィアにまた売られ。私はとあるファミリーに実験体として在籍していた。

Money will do anything.金が物言う、とはよく言ったものだ。金がなければ物を食べられないし、自由すらも手に入れられない。この世は金で出来ている。この頃にはもう私の心に刻まれていた気がする。


「時間だ。来い、『バアル』」


バアル。それが私のここでの呼称だった。名前を忘れてしまった私にはどう呼ばれようが関係ないのだが、どうにもここの施設では特別な名前らしい。それもそうか。大抵ナンバーで呼ばれるものだと思うし。

数多くの実験をされた。その忌まわしい過去は私の体に今も刻まれている。特に苦しかったのは毒の耐性の実験だ。今でこそ役に立つ体質になったとは思うが、当時はつらいものでしかなかった。


私が収容されていた部屋には私以外にもう一人、実験体がいた。地味な男の子であった。


「……よく食べますね」


男の子が私のことを指して言った。私の食べっぷりのことを指しているのだろうか?毒への耐性から、薬物に対してもあるから混入物の心配はないと思ってのことなのだが。

今さらではあるが、当時私がいたそのファミリーの名はエストラーネオ。ちなみにこれが私と骸くんの初の接触だった。



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