愛は金で買える(1/1)


白蘭との戦いも終え、未来からの帰還。こうして命があるまま帰ることが出来てよかった。命あっての物種だ。

到着した場所はなんと、驚くことにザンザス様の目の前であった。入江さんは私達それぞれを、それぞれの場所へ送り帰してくれたのか。非常に助かった。


「稲葉アル、ただいま戻りました」


スカートを払って一礼。長い旅が幕を閉じたのだ。なぜか、ここに帰ってこれてほっとしている自分がいる。大切な何か。確かに見つけられた気がする。


「アル」
「はい?」
「……よくやった」


その褒め言葉に私の口角が僅かに上がったのがわかる。普段褒め慣れていないせいか、ザンザス様の口調はぎこちなかった。

この世の中は金。金こそ全て。私を動かすものは金のみ。そうして生きて15余年。金以外に私を動かすものが出来た。それはそれで、いいかもしれない。


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