稼ぐに追いつく貧乏なし(2/4)


明け方近くにボンゴレが奇襲を仕掛けるはずのミルフィオーレから、襲撃を受けたらしい。グロ・キシニアとの戦闘の時に仕掛けられた発信機。あれを辿って来たのだろう。
今は雲雀さんが奇襲隊を潰しに行っている。その間に沢田くん達はメローネ基地へと向かった。

奇襲が成功するかどうか。かなり低い確率の賭けとなるだろう。酸素マスクを着けて目を閉じているクロームさんの顔を見ながら、手の中の指輪を見た。

この時代に来て、やたら心が揺らいでいる。以前の私はこんな人間ではなかったはずだ。一体いつから。


沢田くん達は『入江正一』という眼鏡の男と、『白くて丸い装置』を目指して進むらしい。入江正一。6弔花の一人、だったか。

沢田くん達は今頃どうしているだろう。何かあれば無線で知らせてくるとは思うが、怪我一つなく、というのは無理な話であろうな。


「…ぅ、ボス…は……」
「クロームさん?気付かれたのですか?」
「…アル?ボスは、ボスはどこ…?」
「沢田くん達はメローネ基地に潜入しましたよ」


体を無理に起こそうとする彼女を制しながら言った。まだ無茶はよくない。体の毒にしかなりえないからだ。


「私も、行かなきゃ…」
「無理は禁物です」
「行かなきゃ……」


霧の守護者としての使命故か。彼女は引き下がろうとしない。困ったものだ。肩を竦めて傍にかけておいたヴァリアーの制服を手に取った。指輪と匣の存在を確かめる。ついでだ。メローネ基地には私も用がある。指令もあることだし。


「私もついて行きますからね。絶対に一人では行かせませんよ」
「アル…ありがとう」


本当、お金が貰えるわけではないのに。彼女に情でも芽生えさせてしまったのだろうか。


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