然うは問屋が卸さない(2/2)


その後、キャバッローネのボス、ディーノ氏の登場により場は鎮まった。かと思われた。

スクアーロ様が一悶着起こし、ボンゴレリングの入った小箱を手に入れて去って行った。日本まで追って来て収獲無し、なんてことはヴァリアーの名にかけて許せなかったのだろう。それに何も持って帰らずにいたらザンザス様から怒りのグラスを食らわされることだろうから。…スクアーロ様ってば苦労人。


そうしてやっと場は解散された。

私はどうするべきだろう?スクアーロ様を追い、合流するべきか。はたまた自宅に帰りボンゴレ本部の現状を調べるべきか。……否、私に与えられた任務は沢田綱吉の『見張り』。すなわち監視。任務には忠実に行動した方が良かろう。

気配に敏感なリボーン先生に気付かれぬよう、距離を取って片目のみの望遠鏡を装着して、屋根伝いに沢田くんを追跡した。両目で距離感が違うので視界に違和感を覚えるが、走りながらの尾行には最適なのだ。発信機の方が便利だけれど。

念には念を込めて。あまり使いたくはないが、奥の手を使うとしよう。幻術で周囲から自分の姿を眩ませ、気配を絶って再度追いかけ始めた。

これまで多くの経験を積んで生きてきた私だ。きっと私は器用なのだろう。練習を積めば才能が必須である幻術までも習得出来た。他にも思い当たる理由はあるが、今は割愛。沢田くんを追うことの方が優先事項だ。


リボーン先生、沢田くん、ディーノ氏が移動して、ある一つの建物に入った。廃業したはずの中山外科病院。建物の中に入られては監視が出来ないと思ったが、一つの病室に入ったところが見えた。カーテンが開いている。不用心だ。

中でごちゃごちゃと話しているのをじっと見つめる。次は盗聴器も仕掛けておこうと思った。

ディーノ氏が懐に手を入れ、差し出した物を見て固まった。さっき見た、スクアーロ様が持ち去った小箱と同じ形状。中の様子から察するに、あちらが本物だ。私の勘もそう告げていた。

沢田くんが一人で病院を飛び出したので、後を追いながらケータイを取り出した。最近よくかける、かかってくる番号にコールする。待つこと数秒。相手側が受話器を取った。


「アルです。報告します」
「何だ」
「つい先程スクアーロ様を並盛でお見かけしました。ボンゴレリングを手に入れたようです」


この報告は話を切り出す話題。ザンザス様は何も言わなかった。何か反応が欲しいわけでもないので特に気にしない。

沢田くんが家に着いた。私も立ち止まって家の中を探る。つい最近まで並盛になかった姿が沢田家にある。


「さらにたった今、沢田家光の姿を確認しました。今回の一件、CEDEFも絡んでいるのでしょう。現在は誰とも何の連絡も取り合っておりません」
「そうか」
「時にザンザス様。話を戻しますが、スクアーロ様がリングを本国に持ち帰るはずだと思うのですが」
「ああ。さっきカス鮫から報告があった」
「偽物です。キャバッローネのディーノが本物のリングを手にしているところを確認しました」


暫くの沈黙の後、受話器から「…かっ消す」という声が聞こえた。葬式の手配はいたします、スクアーロ様。


「彼らは時間を稼ぐつもりでしょう。スクアーロ様がお帰りになられてから来日されてはいかがでしょうか?その間にお食事の手配等を行っておきますので」


色々と隠蔽工作を行う時間も必要であろうし。これは気まぐれの提案であった。「報告は以上です」そう言って電話を切った。


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