痩せの大食い(2/3)


教室に入ると故意ではないのに遅刻について厳しく非難されてしまったので、遅刻してしまった自分も悪いと思いながら風紀委員長の名前を出させてもらった。教師は青褪めて「もういい」と言ったので、有難く着席させてもらう。

席に着くと隣に座っていた黒髪の女の子と茶髪の女の子からコソッと耳打ちされた。


「あんた留学生ってだけで青い目で見られてんのに、よく遅刻したね」
「教室の場所がわからなくて」
「私が案内すれば良かったね。あ、私笹川京子。京子って呼んで」
「あたしは黒川花」


遅刻は決して彼女のせいではないのに。お気持ちだけで十分です、と茶髪の女の子、京子さんに言って名前に違和感を覚えた。笹川、聞いた覚えのある名前だが。


「京子さんって、お兄さんがいますか?」
「お兄ちゃん?うん、いるよ」


ボクシング部の主将なの、と続けて言った。兄妹で随分と印象が違うが……世の中の兄妹とはこんなものなのだろうか?

京子さんの向こうに座っていた花さんが何か言いたげな目をしていたが、授業中ということで何も聞かずに授業に集中することにした。


授業終わりに「稲葉さん!」と京子さんに呼び止められたので何かと立ち止まった。ついでに名前で呼んでくれていいですよ、と言っておいた。


「アルちゃん、ケーキ屋さんに興味ってないかな?」


ケーキ、と言うか食べ物全般に興味はあるのだが。それがどうかしたのかと尋ね返すと、オススメのケーキ屋に週末に行かないかと誘われた。

有難い誘いであるが、一つ要求したいと口にした。


「沢田くん達も誘っていいですか?」
「ツナくん?いいけど、どうしたの?」
「まさかアンタ気があるとか…」
「いえ、ありません」


うわバッサリ……とその時花さんが思っていたのを私は知らない。


「学校初日に町内を案内してもらって…」


そのお礼をしたいんです、と伝えると二人は「ああ!」と納得した。借りはこれでチャラにしてもらえたらいいのだけど、と思いながら私は週末を待った。


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