損して得取れ(2/3)


なんだか色々あり、9代目の取り計らいの下、私は職を見つけるまでボンゴレファミリーでお世話になることになった。世話になる、とは言ってもいずれ去ることを決めているので仕事や情報など一切貰っていない。唯一貰っているものと言えば求人広告ぐらいだろうか。

そんな日々を過ごす中、9代目からお呼びがかかった。年寄りの話し相手になってくれ、と呼ばれることはよくある。今日はどんな話を聞かせてくれるのだろうか、と部屋へと向かった。


「彼はリボーン。私の友人だ」
「ちゃおッス」


もしかして、今まで聞かせてもらった話の中で一番度胆を抜かれる話かもしれない。子供が…否、赤ん坊が喋っている…だと。


「リボーン…って、最強のヒットマンの名前と同じ」
「ほぉ。物知りだな」
「彼はそのリボーンだよ」


二度の衝撃。この、赤ん坊が…世界最強。ひょっとして私は夢を見ているのかもしれない。早く目覚めろ、と念じていると「夢じゃねぇぞ」とリボーンさんから指摘された。確かこれは読心術。リボーンさんがあのリボーンと認めろ、と言われているのか。


「…あの、リボーンさんならお願いがあります」
「なんだ?」
「私に、殺しを教えてください」


殺し、の言葉に9代目の眉が動いた。


「もう完全に表社会で生きていくことは無理だとはわかっています」
「…アルちゃん」
「だからどうか、生き残るために教えてください。少しでも構わないんです」


父との最後の約束は、生きること。そのために、身を守るために必要なのだ。

リボーンさんは帽子の鍔を下げて、少し考え込んでいた。どうか、私にとっていい答えを聞かせてくれると嬉しい。


「……俺は甘くねェぞ」
「!はい!ありがとうございます」


後からリボーン先生に聞いたことには、私の頼み事を承諾したのは9代目の取り計らいがあったからなんだと。9代目の観察眼はやはり鋭いと思う。


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