時は金なり(2/3)


10年バズーカによる不思議な光に包まれてあーれー、な私。少しふざけすぎましたね。


「……アル、か?」
「ええ。私は稲葉アルですが…ザンザス様、でいらっしゃいますでしょうか?」


目の前に僅かに目を見開いた男。私の予想が正しければザンザス様で合っていると思うのだが……。この寡黙な反応はご本人で間違いないだろう。


「10年バズーカか」
「恐らくそのようかと」


状況を確認しましょう。あの気弱そうな眼鏡の少年に撃たれたものは10年バズーカで間違いないはず。つまり今私が立っているこの時間は、私が生きていた時代の10年後ということだ。10年経てば人の風貌はかなり変わるものなのですね。ザンザス様の雰囲気も大分変っているようで。

10年バズーカについて、私が知っていることは数少ない。あんなふざけたバズーカであっても、一応一つのファミリー秘伝の道具なのだ。持っている情報が少なくても仕方ないことだろう。


「……」
「……5分、経ちましたよね?」


10年バズーカは、通常5分経てば元の時代に戻れるはず。そして現在、私が未来に来てからの経過時間は10分。おかしい。何か異常が起きているということだ。
どうしよう。このまま過去に帰れなくなったら。Time is money.時は金なり。このまま過去に帰してくれないなら、私の10年分をお金にして返して欲しい。


「う゛ぉ゛おい!クソボス!任務報告だァッ!」


ウイスキーグラスが目の前を通り過ぎて行った。グラスの行き先は銀髪の男。きっとスクアーロ様。「何しやがる!」どうやらこのやり取りは10年経っても変わらないみたいだ。
スクアーロ様と思われる男はザンザス様の隣に立っている私を見て眉を寄せた。


「あ゛あ?…アル、で合ってんのか?」
「左様でございますよ」
「おいカス鮫。カス共に召集をかけろ。会議だ」


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