星の瞬き | ナノ

  蝦蟇蛙と月


予選が終了して早数日。なんとか本選までに五行封印を解かねばならない。


今のオレと九喇嘛は封印で結ばれた関係ではない。

しかし、オレの腹には契約の痕として屍鬼封尽の封印式にとてもよく似た術式がある。というか屍鬼封尽を少しいじったのがオレ達の契約。

大蛇丸に気付かれなかったのはこういうわけなんだよね


さてさて、チャクラをうまく練れない今現在。
オレの力で五行封印を解くことは不可能だ


そういうわけで人探し。かの有名な三忍自来也様を探す。


どこを探すものやら…
三忍自来也、またの名をエロ仙人
つまり…そういういかがわしい店を…探せ、ば…。やる気は…ない。


どうしよっかなぁと道を歩く。九喇嘛と話さなかった時間が思ったよりも長く、寂しく感じる。

下げていた目を上げて前を見据えれば温泉を覗き見しているおっさんが。


「うわぁ!ないわあ、覗きとか!!」

「ったく…騒ぐなってのガキンチョ!バレたらどーすんだのォ」


振り返ったのは白髪に…歌舞伎?風の…仙人?
ヤバい。上手く表現ができない。とりあえず変質者で。


「おっさん覗きとか最低だってば」


軽蔑した目で変質者を見ていればごそごそと懐から何かを取り出す。

…イチャイチャパラダイス。これの取材だとか。


「どっちにしろ犯罪なんだよ、この変質者!!」




*****




場所は変わり林の傍。さすがのオレもあんな場所で話などできない

不本意ではあるが、お色気の術を使用して引っ張って来た。艶やかな色っぽい着物美人に変化!思うんだが、お色気の術ってつまりは変化の術だよな?なんで別の名前が付いてるんだ?


っと、マジレスしてる場合じゃない

変質者もとい自来也はよくわからない自己紹介をした。どこどこの山のなんとか仙人自来也だって。ちょっと覚えるの無理だったようだ


「さて、服を捲り術式が見えるようになるまでチャクラを練ろ」

「うっす」


先ほどまで下ネタを連発していた変質者だが、真面目な顔付きになり指示を出す。

素直に言うことを聞きチャクラを練る。やっぱり少し練り難いな。少し時間がかかる。


「倒れるなよ、五行解印!」


ぐっ!変質者の拳が腹にクリティカルヒット!
プルプルと脚が震えるものの、何とか堪える。


「ほぉ、倒れんかったか」
「と思ったけどやっぱ無理」


べしゃあと倒れこむ。







いつのまにかこんなにも大きくなったものだ。

自分の弟子であるミナトが四代目火影になり、子供を産んだと聞いたのがつい昨日のことのように思える。

二人の子供なだけある。とてもよく似ている。


父親から譲り受けた金糸の髪に青玉を思わせる瞳の色。母親から譲り受けた目付きに鼻筋、唇の形。


見れば見るほど二人を思わせる。見る人が見ればすぐに二人の子供とわかるであろう。


この子は将来大物になる、その覇気がある。
それを望んでいなくとも、事がこの子に近寄ってくる。



神の守護がこの子にありますように…






五行解印からの苦しさからなんとか復活、ナルセちゃん

あのなんとも言えない気持ち悪さ…二度と体感したくないな


復活した後、オレは自来也に礼を言い別れた。修行をしてやろうと誘われたが断ると一刀両断。

口寄せの修行なんて必要ないからな。オレには九喇嘛がいるし、これ以上忍らしくなってどうするんだよ


さーて、帰って白におやつでも作ってもらおっと




*****





特別上忍の月光ハヤテはとある病室で目を覚ました。

数日前、自分は命を落としたかと思われた。怪しげな密会を追尾し、砂の忍から強力な術をくらってしまって、助からないと思った。


でも、自分は今こうして生きている。

あの子に救われたからだ。



「お願いがあるって言ったのに、ここで死なれちゃ困るんだよね」



月影をバックに、妖艶に笑うあの子が瀕死の自分の目の前に立っていた。


昔からよくわからない人だとは思っていた。

あの子は里の人間から、私からも嫌われているというのに、何もしなかった。

しようと思えばやり返す力などあるというのに。少なくとも私以上の力を。


憎めばいい。壊せばいい。虐げられてきた君にはその権利がある。


しかし、それをあの子に言えば信じられないことを言われた。



「それで何になる。何か変わるのか?もう殴られなくなるというのか?虐げられなくなるというのか?」

「憎しみから生まれたものなど、何も生まない」


そして、最後に儚げに笑ってこう付け加えた。


「と言っても、これはただの受け売りなんだよ。オレはすでに過去に一度過ちを冒した。それを繰り返さないだけだ」


驚いた。まだ年端もいかない子供に改心させられるとは思わなかった。その瞬間、目の前の子供が特別な存在に見えてきた。


私は特別部隊に配属されることになった。
まだ仮の状態ではあるが、変わることはないと思う。

自分の意志で決めた。あの子が、その部隊の隊長になると聞いたからだ。


出来ることであれば、あの子を守れるようになりたいものだ



三忍自来也と月光ハヤテ


prev / next

[ back to contents | bookmark ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -