予選@
「まずは第二の試験、通過おめでとう!!」
久しぶりに見るアンコ試験官の顔。
若干顔色が悪いようだ。あとであんころ餅を御馳走しよう。共食い?まっさかー
左隣は紅班の第八班。ヒナタがいる班だ。
ヒナタの顔を見て癒されるが、今のオレにはいつものようにはしゃぐ気力がない。疲れてるんだ…
反対に右隣はひとつ年上のガイ班。さすが年上。威厳があるな。
どうしてオレの同期はこう…落着きがないんだろう
おもにキバとかキバとかキバとか
「それでは、これから火影様より第三の試験の説明がある。各自心して聞くように!…では火影様、お願いします」
アンコ試験官が一歩下がり、三代目のじーさんが前に出る。
「これより始める第三の試験…その説明の前にまず一つだけお前達にハッキリと告げておきたいことがある!…この試験の真の目的についてじゃ」
あるよねぇ、お偉いさんの長ったらしい話。
まだ眠い朝礼の時、始めは内容が深いからしっかりと校長の話を聞こうとしていても思わず途中からだるくなるやつ。
…つまりはそれだ。話を全く聞いていなかった。
「恐れながら火影様…ここからは審判を仰せつかったこの月光ハヤテから…」
「…任せよう」
余りの長さに審判さんが登場。空気が読める人だ!
「皆さん初めまして、ハヤテです。えー皆さんには第三の試験前に…やってもらいたいことがあるんですね…」
今回の試験は甘かったらしく、思った以上に人数が余ったらしい。そこで、人数を減らすために予選を行うと。
本選では能無しの大名がいらっしゃるので、つまらない試合は出来ないらしい。弱者は必要なしと。
…いや、全然甘くなかったよね!?第一の試験はともかく、第二の試験は死ぬ思いをしたぞ!!
あのオカマ蛇野郎…ぜってぇ許さねえ…
「えー…というわけで…体調の優れない方…止めたくなった方は申し出て下さい。これからすぐに予選が始まりますので…」
「これからすぐだと?!」
キバが牙を剥いて審判に突っかかる。あ、駄洒落
ともかく。体調が悪そうなのはさっきのアンコ試験官とさっきから咳き込んでるあんたじゃないのか?
「あのー…僕は止めておきます」
手を挙げたのはカブト。ひそひそ声でなぜかオレに理由を告げる。もう自分はこれまでの試験で体がボロボロなんだと。嘘を吐け
カブトを訝しんで見ていたサスケが急に首を抑えてうずくまる。
「えー、では…他に辞退者は居ませんね?」
サスケを見ていたサクラは辞退するように勧める。
もうこれ以上の無茶は体に毒だ。たとえオレの術で呪印の力を弱めていようとも、今はまだ体が思うように動かないはず。
サスケはサクラを振り払い、なお予選に出場しようとする。サクラは目に涙を溜め、サスケを心配する。
「ナルセ…オレはお前とも闘いたい」
唐突にオレに振るサスケ。目は真剣なもの。
自分の実力が師匠にどれだけ通じるものか試したいのだろう。
「だが断る
しんぱーん、オレもじたフゴォ!」
挙手をして辞退しようとしたのに、口をサクラに体をサスケに抑え込まれ辞退しようにもできない。周りはそんなオレ達を珍獣を見るかのような目で見つめる。
「(あんたは出なさいよ!)」
「(オレはいつまでもお前が実力を隠していることに納得いかない)」
耳元でぼそぼそと説得されるが、オレも退くわけにはいかない。
人生が懸かっているんですもの!
が、しかし。人生そううまくはいかないものだ。
審判は絶対にオレのことを見ていたはずなのに予選開始を告げる。
おい!お前助けろよな!
オレの懇願の眼差しを無視してハヤテ審判は予選の説明をする。
一対一の個人戦、実戦形式の対戦
合計十回戦を行い、それぞれの勝者が本選に出場出来る。
ルールは無し。どちらかが死ぬか、再起不能になるか。または負けを認めるまで続く。勝敗がついたと審判が判断した場合、そこで止めに入り試合終了。
「えー…では、早速ですが第一回戦の二名を発表致しますね…」
対戦相手は電光板に表示される。
完全にランダムで決まる対戦相手。その一回戦目は…
【ウチハ・サスケ VS アカドウ・ヨロイ】
「!」
「(そんな…何でサスケ君が…!)」
結局は原作通り。出だしで緊張するであろうが、サスケはああ見えて目立ちたがり屋。いつも通りの実力を出していけるであろう。
「掲示板に示された二名…前へ。対戦者二名を除く皆さん方は上のほうへ移動して下さい」
観客席は二階の壁際。体育館を想像してもらえばいいだろう。そんな感じだ。
オレが言えるのはこれだけ。
驕り高ぶるな、いつも通りやれ。…以上だ。
結果はサスケの勝利。
途中呪印が暴走しそうになったが、そこはサスケの根性とオレの術で抑え込んだ。
止めは試験会場に入る前、リーとの戦いで身に着けた獅子連弾。リーが自分の対術をアレンジして使われたことに驚いていたな。
試合終了後、呪印を気にかけたカカシ先生がサスケを連れて行ったがすぐに戻ってきた。ま、オレが術を施していたからな。
原作と違い、サスケもオレ達と一緒に観戦。怪我を見て見ぬふりは出来ないので塗り薬を渡しておいた。
次の試合は【ザク・アブミ VS アブラメ・シノ】
ザクは途中まで余裕たらしげにシノを馬鹿にしていたが、勝利したのはシノだった。巧みに蟲を操っての完全勝利だった。地味とか言わない
試合はまだまだ続く。
【ツルギ・ミスミ VS カンクロウ】
カンクロウがとどめをさされたかと思いきや、それは傀儡で。本人は傀儡だと思われていた包帯に包まれた方だった。
傀儡「烏」。友人の作品にしてカンクロウの武器。さすがあいつが作った傀儡、すばらしい出来だ。オレには到底真似できない。
【ハルノ・サクラ VS ヤマナカ・イノ】
四回戦目は親友として、ライバルとして二人は戦うことになった。原作では押され気味だったサクラ。
「まさか…アンタとやる事になるなんてね…」
「…いの、本気で来なさい」
「っ!あんた如きになんでそんなこと言われなきゃいけないのよ!」
でもそれは原作での話。ずんっと重たい音が会場内に響く。
オレはうっすらと笑みを浮かべた。あんなに才能がある子を放っておくわけがないだろう。
会場に亀裂が入る。サクラの拳により出来たものだ。すでにサクラは自在にチャクラをコントロール出来ている。あの馬鹿力を会得させないでどうする。威力はまだまだだが、これから伸びていくだろう
会場はどよめいた。あんな小さな体のどこにあんな力があるのだろうと。
しかし結果は引き分け。まあよくやったもんだ。
六回戦目はお団子ちゃんことテンテンと風使いのテマリの戦い。
巧みに忍具を操るテンテンに舌を巻くが、そこは相性の問題。風使いのテマリに敵うわけがない。
結果はテマリの勝ちだった。そこで木の葉と砂のいがみ合いが少々あったが、そこは割愛。
七回戦目、シカマルと音忍のキンとの対戦。
勝者はシカマル。その類い稀なる頭脳と一族に伝わる影真似の術を使っての勝者。
シカマルは女が相手で至極めんどくさそうであったが、地形を利用し見事勝った。相手の負け方に思わず噴いたのには目を瞑ってほしい。
次は誰かな、と電光板に目を向ける。
【ウズマキ・ナルセ VS イヌヅカ・キバ】
「うっひょおおラッキー!確実に勝てる試合だぜ赤丸!!」
「ワン!」
とうとうオレの出番が来てしまったな、とがっくりと肩を落とした。
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