星の瞬き | ナノ

  合同任務


某日、第七班の人間は火影邸に召集をかけられた。


「第七班には別の班と合同で、Cランクの任務をしてもらう」


で、着いた途端にこれだ。


「ノーーーッサンキューだってば!この間Cランクをもらったばっかりだ。オレはDランクが欲しい!」


その場にいた人間はまた始まったと思った。

ナルセの忍者嫌い、任務嫌いは今に始まったことではない。いつもこうして駄々をこねるのだ。


「まぁまぁ、そんなこと言わずに話ぐらい聞こうじゃない。ね?」


カカシ先生が宥めてきたので、仕方なーく引き下がる。

しかし、嫌な予感が拭えない。このじじぃ、絶対また何か企んでやがる。


「任務の内容は巻物を里に持って帰り、依頼人に受け渡すだけじゃ

詳しい内容はここに書いてある。チームを組む班はの…秘密じゃ。行けばわかる。同期ということは言っておこうかの」


同期…つまり同じ年にアカデミーを卒業したメンバー。運が良ければヒナタに、オレの癒しに会えるというわけか


「よーし!皆行くってば!!」


先ほどとは真逆の、にこやかな笑顔を見せられ、全員肩を落としたと。




*****





集合場所に到着すればまだもう一つの班は来ていなかった。どうやら予定より早く着きすぎたようである。

折角カカシ先生を九喇嘛で脅し…げふん 九喇嘛とお願いして早めに来たというのに、これではおあずけ状態ではないか!


「一体どこの班と組むのかな?」

「さあ?そこまでわくわくすることかしら?」


そりゃあわくわくもするよ!
ヒナタがいいな、ヒナタに会いたい。というかもうヒナタ以外は嫌だな!もう最近癒しが足りなくてな。サクラとサスケはなかなか進展しないし、それどころかオレに構うようになってきたし。いや、二人も十分可愛いんだけど、オレとしては二人がいちゃついているところを見たいわけよ。二人が青春してるところをオレとカカシ先生が遠いところから生暖かい目で見ることが至福なn

「来たみたいよ」


ヒナタか!?ヒナタなのか!?
サクラが指し示す方へ顔を向ける。


「ったく、めんどくせ〜」
「サスケくぅ〜んv」
「バリバリ)遅くなってごめんね」


そのっ、特徴ある三人は…アスマ班、だった…ッ


「いやぁ、すまないすまない。任務の説明が長くなってな」


熊さんのような巨体に顎鬚、煙草を吸っているのは第十班の隊長、猿飛アスマ先生。

紅班じゃ、なかった…ッ


ぱっとオレをスポットライトが照らす。


ヒナタを待ち望むことでヒナタの班以外のメンバーが来るというフラグを、オレは立ててしまったのか…

くそう、なぜ世の中はオレの思う通りに進まないんだ…理不尽じゃないか…


「なにやってんだ、お前は。めんどくせーやつだな」


一人憂鬱に黄昏る中、シカマルが声をかける。ぐらんぐらんと体を揺らしてシカマルを見る。


「いいか、シカマル。お前の名前はな、漢字で書き表すと鹿丸なんだよ。オレは鹿じゃなくて天使、ヒナタに会いたかったんだよ!!なぁんでサバイバルが得意な八班が来ないんだよ!なんでお前らが来るんだよ!!」

「ちょ、ちょっとナルセ落ち着きなさいよ(なんでいのが来るのよ、しゃーんなろー!)」


シカマルはめんどくせーと言ってやる気を出してないし、いのはサスケに絡んでるし、チョウジはお菓子をバリバリ食べてるだけだし…


「先生、オレもう帰るわ。体調不良ってことにしといてってば」
「何言ってんの」


帰宅しようとすればカカシ先生に肩を掴まれ逃亡不可能。


だって絶対この任務成功しないよ

サクラといのはサスケを取り合って喧嘩してるし、サスケはそれを見てイライラしてるし、シカマルとチョウジは傍観者に徹底してるし。


「そういえばナルセ、眼鏡はどうしたの?イメチェン?」

「ああ、この間の任務でちょっと。あれ伊達だったからどうにも新しいのを買う気にもなれなくて。どこか変ってば?」


チョウジはポテチの袋に忙しなく手を出し入れしながら、オレの顔をまじまじと見る。

激辛ハバネロ味…暴君ハ〇ネロを思い出すな。
飲み物とか欲しくならないんだろうか


「うーん、なんだか見慣れないだけ。眼鏡をかけてるところしか見たことがなかったから」


そういえばそうかなあ。
サスケがプレゼントしてくれて五年以上は経ってるもんなあ。我ながら長い間愛用したものだ

ううっ、ある意味オレの相棒が消えてしまったということか


「サスケェ…今度あんころ餅奢ってくれよぅ。オレを慰めてくれってば…」


泣き真似をしながらサスケの袖を掴めば、仕方ないと溜め息を落とされた。流石サスケ!紳士だな!


「ちょっとナルセ!あんた何サスケくんに近づいてるのよ!!」
「サスケくんに馴れ馴れしくするんじゃないわよ!」


こっわ!二人とも喧嘩しつつよくまあそんな暇があるもんだ。


「とりあえず、任務に行こっか」







任務内容によれば、里の外れの小さな小屋に巻物がおいてあるらしい。

忘れ物らしいが、このあたりで盗賊が出ると聞いて取りに戻ることができず、依頼をしたらしい。


「よし、回収」

「案外あっという間に終わったわね」


喧嘩をしていた二人も任務となればきちんと熟す。まあ移動中口喧嘩が絶えなかったが…


しかし、それにしても簡単すぎる。
あのじじぃがこんな任務にわざわざチームを組ませるか?

しかもこのオレを組み込んだ。何かを企んでいるのは分かるが、その正体が掴めない。


そもそもどうして第八班と組ませなかった。あの班にはキバがいる。こんな外れに来るならば里の地理に詳しいキバがいたほうがいい。なぜ連係プレーが得意な十班と組ませた?


ちらりとカカシ先生を見れば微かに頷かれた。

考えていても仕方ない。一刻も早く里に戻るべきだ。


小屋を出れば、目の前を何かが掠った。

手裏剣だ


「その巻物を渡してもらおうか」


囲まれている。大の大人五人ほどだ。チッ、こういうことか。


「先生、どうするってば」


先生に指示を仰ぐ。こういう状況であれば手慣れたカカシ先生を頼るのが一番だ。


「こいつら、かなりの手練れだぞ。オレ達二人で足止めをする。お前たちは巻物を持って里へ急げ!」


こういう時頼りになるのはサスケ。
先頭をきって走り出す。オレ達はそのあとに続く。


先生二人をその場に残して、木から木へ。移動を繰り返す。


「三つに別れよう。オレとサクラ。サスケとシカマル。チョウジといので里を目指すんだってば。サスケ達はAルートから、チョウジ達はCルートから行ってほしい」

「ちょっとなんであんたが指示を出してんのよ!」


抗議をしたのはいの。サスケとサクラは素直に了承するがいのはそうはいかないらしい。


「任務達成が優先だってば。戦力を分配すればこうなるのは致し方ない。シカマル、どこか変更する点はあるか」

「いや、ねェな。いのの術は外せば敵に狙われる。確実に術を発動するためにも連係のとれたチョウジと一緒にいたほうがいい。お前は大丈夫なのかよ」


ん?オレのことか?
そういえばシカマルにはまだ一度も実力を見せていなかったな

サスケもサクラも心配することはないといった顔をしている。むしろ今オレと一緒にいるほうが安全だな


「オレのことは心配ない。オレの影分身が巻物に化ける。それを持っていてほしい。本物はオレ達が持つ。異論はあるか」


今度はいのも何も言わなかった。シカマルにああ言われてしまえば仕方ないのだろう。

影分身を二体作り上げ、巻物に変化する。双方に目配せをして確認が取れれば解散する。


「散!」



*****




「サクラ、大丈夫か?」


皆と別れてからずっとハイペースで走り続けている。体力に限界は来ていないだろうか。


「私なら大丈夫。修行の成果ね。それよりその巻物、狙われる価値なんてあるのかしら?」


サクラの手の中にある巻物を見つめて言う。

確かにどう見ても価値があるものとは思えない。価値が無いように見せかけたか、もしくは

「罠、か」


万が一を考えて行動を起こさなければならない。
先ほどの五人はきっとかなりの強者。先生達二人であればいいが、オレ達に襲い掛かってくるとなると…



ぴくりと反応する。背後に人の気配が。
まだ遠いが、この速さならば直に追いつかれるだろう。


「サクラ、敵が来た。オレが食い止める。サクラはオレの影分身と九喇嘛と共に里に向かってほしい」


サクラは一瞬不安そうな顔をしたが、唇をきゅっと締めて頷いた。


「怪我をするなよ」

「オレを誰だと思っている」


分身と九喇嘛、サクラはオレを置いて先に進む。オレはここで敵を迎え撃つ。







「ガキがいっちょまえに待ち伏せかあ?」


敵の気配は一つ。おそらく残りの四つは先生達がやったのだろう。


「甘く見てるのも今の内だ」


クナイを四方八方に投げる。敵は自分に当たらないそれを見て嘲け笑った。


指にチャクラを込め、拡散させる。クナイにワイヤーを付けておいた。敵はそれを見てはっとしたがもう遅い。

チャクラ糸も追加させ、風のチャクラを纏わせて一気に引く。風のチャクラを纏わせることで切れ味は増す。

糸に囲まれたその体は反撃をする暇もなく肉塊へと変貌した。


「お疲れ。オレ達が出てくるまでもなかったね」


先生が到着した。ワイヤーを回収し、敵の顔を見に行く。


見たことがない額当てだ。どんなに小さな隠れ里でも、噂ぐらいは耳に入るはず。


「先生、この額当てを見たことはあるか?」

「いや、オレでも無いね」


アスマも同じく。

一体どこの忍だ?菱形の中に…これは鳥か?鳥の鉤爪がある。


「他の皆はどうした」

「三方向に散らばり、それぞれ里を目指させた。もうそろそろ着いているだろう」


それじゃあオレ達も行くかとカカシ先生は言った。オレ達はその場を後にする。


あの額当てが頭から離れなくて、チョーカーの鈴が熱を帯びているように思えた。



正体不明の敵
(なんだか面倒なことになりそうだ)


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