星の瞬き | ナノ

  修行A


「おい、ナルセ」


修行を始めて何時間か経過した頃、サスケに声をかけられる。

さすがに話をしてる最中に見下されるのはどうかと思い、変化を解いてサスケの前に降り立つ。


「何?なんか用だってば?」

「…お前の実力はわかってるつもりだ。それこそお前の本当の実力はそこらの上忍レベルだとな」


ありり?急に人を褒め始めてどうしたんだ?


「それがどうかしたかってば?」


先を促せば、サスケは顔を赤らめて俯いてしまった。その、だとかあの、だとか。

お前は恋する乙女か!

…はっ!そうか、サクラちゃんの好みを聞き出したいんだな!


「ごめんけどサスケ。オレ、サクラちゃんの好みについてはそこまで詳しくないってば…」

「何言ってんだ、ウスラトンカチ」


あれれ?違ったようだ

じゃ何だよと眉を寄せれば覚悟を決めたようで、大きく息を吐いた。



「オレに忍について教えて欲しい」



サスケの台詞に反応し、サクラちゃん、カカシ先生が傍に寄って来る。

心外だな、あのプライドが人一倍高いサスケが誰かに教えを乞うなんて。


「確かサスケにはしたいことがあったんだよな?」

「…ああ」


サスケはまた俯き、拳を強く握りしめた。
でもなあ。それはちょっとなあ…


「オレに弟子入りしたいってことだよな。それならば二、三条件がある。…一つ、オレを師として扱うこと」


条件と聞いて、サスケは身を固まらせたが一つ目の条件を聞き、容易いことだと判断したのか頷く。


「一つ、己の力を過信しないこと」


二つ目に関しても頷く。そう簡単に誓えるのはここまで。

最後のひとつだ。


「一つ、









イタチの殺害を諦めろ」



それを聞き、サスケはばっと顔を上げる。なぜそんなことを言われるのか理解できない、そんな顔だ。


カカシ先生はイタチという単語を聞きはっとするが、何も知らないサクラちゃんは首を傾げるばかりだ。

オレはサスケを冷めた目で見つめる。


「忘れるな、サスケ。オレはお前と友であり、イタチとも友であるということを。

だがな、オレがこんなことを言う理由はこれだけじゃない。お前は真実を知らないだけだ」

「…真実?」


そうだと頷き、二、三歩距離をとる。


「お前はイタチの思うように騙された。幼かったお前はイタチの手中に嵌り、イタチを憎んだ。思っていた通りになったが、イタチは苦しんでいたよ。オレはあれがイタチだとは信じたくなかった。

だから約束したのさ。サスケを任された、と」

「兄さんが…」

「お前がこのままイタチを憎み続ければ、お前が後悔するとオレは知っている。こう言えばうちは一族を否定することになるが、憎しみで生まれた力などたかが知れているんだ

真実を知れ、サスケ。だが里でこの話はするな。ここであるからこそ話せる内容だということを忘れるな」


一つ、一つオレの言葉がサスケに重く圧し掛かる。
今オレが言ったことはこの数年のサスケを否定することだ。簡単には決められない。


「あれは、あの事件はイタチが…兄さんが望んだことじゃないというのか?」

「さあな。オレはそこまでは言えない。自分で探すことだ」


たくさんの思いがサスケの中で巡る。

かつて愛した兄の言葉を信じるか、友であるオレの言葉を信じるか。

二つに一つだ。



「わかった。…その条件を呑む」



まだ釈然とはしていないがそう決意をしたサスケ。いつか見た表情が思い出される。


「本当にお前達兄弟はよく似ている…

じゃあ、今日からサスケはオレの弟子だってば!」


にっこり笑ってそう言えば、オレの最初の呟きが聞こえたのか晴れ晴れとした顔を上げた。




*****





「まず最初に。さっきのイタチがうんぬんの件はな、お前の力みをとるためでもある。サスケはちょーっと焦り過ぎなんだってば

チャクラコントロールのイメージは個人個人で違うが、サスケはもうちっとリラックスしたほうがいい。サスケのスタミナとチャクラ量は目を見張るものがある。そこは自信に持っていいってば」


サスケはオレのアドバイスを素直に聞き入れ、体の力を抜いた状態で印を組む。チャクラが足に集中した時点で木に向かい駆け出す。

クナイで傷を付けた場所は今までより遥かに高い位置。


「サスケは筋がいい。良過ぎるって言ってもいいな。その調子でコツを掴んで行けば完璧だってば」


褒めて伸びるとはまさにこのこと。
まあ事実を述べただけだが。オレはもうちょっと苦労したぞー


さて、オレも修行に戻るかなと振り返ればオロオロしたサクラちゃんが。


「どうかしたってば?サクラちゃん」

「えっと、その。…私も弟子入りしたいの!」


サクラちゃんから弟子入りという言葉が聞こえ目を見開く。意外、意外だ。


「さっきの条件なら私にも呑めるわ!だから、その…」


もじもじしてるサクラちゃん。…可愛いな。
オレのマイエンジェル、ヒナタを思い出す。


「うーん、そうだな…三つ目の条件はサスケ専用のだから、サクラちゃんには別の条件を提示するってば

一つ、自分に自信を持つこと

サクラちゃん、疑ってるみたいだけどサクラちゃんのチャクラコントロール、かなり凄いんだぞ?」


「ほんとに!?ありがとう、嬉しいわ!!

あ、それから弟子入りしたついでというかなんというか…私のこと呼び捨てで構わないわ」


おやおや嬉しいこと続きだ。
眼鏡が壊れてしょげていたというのに、幸福ばかり。


「それじゃあお言葉に甘えて。

あ、そうだ。
…オレ、サクラのこと応援してるってば」


ぼそぼそと耳元で囁けば途端に赤くなっていく。いいなあ、青春は。


「サクラは単純にスタミナが足りないんだな。チャクラもサスケより少ないとはいえ並み程。

ということはオレと同じような修行をすればいいってば。持久力がつく。そのチャクラコントロールの才能は磨けば光る」


輝かしい笑顔で頷いたサクラと一緒の木の枝にぶら下がる。

ぶら下がっている最中でもサスケへのアドバイスを欠かさない。まだ力みがあるぞー、とか集中力がきれてるーとか。



そんなオレ達を遠くで見つめる影が。


「(最初班員を見た時どうなることやらと思ったが、なかなか纏まりがいいじゃない。ナルセのアドバイスも的確。これはいい班になるな)」



弟子ができました
(イタチに自慢だな)


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