星の瞬き | ナノ

  人員補給


「あーあ…またここか…」

「ご苦労だったな、カカシ」


前回の任務において疲弊したカカシは、少なくとも一週間はベッドの上だと綱手より宣告された。

万華鏡写輪眼。使用するとそれなりのリスクを負うことが判明した。だがそれよりもサスケには気になることがあったのだ。


「カカシ…万華鏡写輪眼の開眼条件を知っているか?」

「んー?開眼条件?」


どうやらいくら調べたカカシといえど、それほど詳しいことを知っているわけではないようである。それならいいとサスケは呟いた。

そもそもカカシの眼は誰かより譲り受けた物だ。自分と条件が違う可能性も考えられるのであるから。


――お前の視力どこまで落ちている?


それ以外にも気にかかることが沢山あるのだ。どちらにしろ目的の人物に会い、尋ねなければ答えは見つからない。


「行くぞ、シズネ」

「あ、師匠!」


サクラはサスケに目配せし、共に綱手の後を追った。


*****


「暁のメンバーの一人、デイダラからの情報です」


ナルセが十日後の真昼に、草隠れの天地橋に向かうというもの。彼が本当にうっかり秘密を洩らしたならば、そこに行けばナルセか、あるいは大蛇丸につながる何かがあるはずである。あれから四日経っているからあと六日しかない。


「信用できるのか?」

「あの様子が嘘だとは考えにくい」


罠かもしれない。大蛇丸を餌に暁が待ち伏せし、木ノ葉の忍を始末するための。


「罠なら、戦うだけです!」

「戦うといってもカカシはもう一週間以上はあの様だ。しかしもう六日しかない」


そもそもカカシ班はナルセがいなくなった時点で班員割れを起こしている。メンバーを補充して新しい班を編成するべきである。でなければ任務を遂行することができない。

サクラとサスケは悔しさ混じりに拳を握り締めた。


「綱手様!それなら別の小隊を送り、様子を見るべきです。百歩譲ってサクラを行かせても、サスケくんは外すべきです。サスケくんはかつて大蛇丸に狙われた経験があります」


つ、とサクラはサスケの横顔を見た。サスケは目を伏せ、表情が読み取れなかった。


「シズネ、サクラはお前同様、私が心から信用できる数少ない忍だ。この任務は必ずサクラのいるカカシ班に行かせる」


シズネの班とは同じではない。サクラもサスケもかつての仲間だったナルセを救いたいと誰よりも思っている。カカシ班でなければ意味を成さない。そしてその強い思いが任務を成功へと導く。


「オレのことなら心配いらない。行くぞ、サクラ」

「カカシとナルセの抜けた穴はこちらで二人人員補充する。メンバー探しは必要ないからな」

「はい、わかりました!て、ちょっと待ってよサスケくーん!」


必要な話し合いを終了したサクラはわたわたとサスケの後ろ姿の追った。それを見た綱手とシズネの二人は苦笑するのであった。


*****


第八班、第十班のメンバーとの再会後のことである。突然の襲撃を受けた。


「(これは…墨?)」


襲ってくる虎を切り倒していくとその体は墨と化し地面に落ちた。少し離れたところにいる男へと駆ける。

刀を向けると男も背の短剣を引き抜き受け止めた。力は五分五分、いやサスケが少し押しているぐらいであろうか。

時間をかけたくないサスケが空いている片手で千鳥を発動すると男は危機感を感じ宙へ跳んだ。


「また会うことになるよ、サスケくん」


にこりと笑った男は墨をまとわせ姿を消していった。一体なんだったのだと思う中サクラがサスケに駆け寄る。


「大丈夫?サスケくん」

「…ああ。とりあえず集合場所へ行こう」



新しい班員との集合場所にサスケとサクラの二人は向かった。

一人は始終笑いを浮かべ、一人は独特の雰囲気を持った人であった。笑いを浮かべている方は先ほど襲撃してきた男である。


「あ!あんた!」


サクラが男のことを指差した。緊迫した雰囲気が流れる。サスケが刀に手を添えると男も背に手を伸ばした。

そんな中「止めるんだ」ともう一人の男が注意をかける。視線が彼に集める。


「カカシさんの入院中この班の隊長を代行する者だ」


男はヤマトと名乗った。サクラが名前を繰り返す。


「君達は同じ班の仲間なんだから、仲良くしてくれなきゃ困るよ」


これが、とサスケは目を向け刀から手を放す。それを確かめた男も警戒態勢を解いた。


「さっきはごめんよ。これから同じ班の仲間になる人の実力を知っておきたかったんだ」


まあそれも正論であるか、とサスケは納得するがサクラは「ちょっと感じが悪い」と言った。男はハハハと笑う。


「そんなことじゃ嫌われるわよ」

「ボクは好きですよ。あなたのような感じの良いブス」


ブチリ。サクラの血管が切れた。

これで任務がうまくいくのだろうかと、サスケとサクラを抑えるヤマトは頭を抱えた。


「とにかく、これから四人ですぐ任務に入る事になる。ってのに、何だコレ。同じ檻に入れて馴らしてる時間なんかないよ。ホラ、自己紹介」

「春野サクラです」

「うちはサスケ」

「サイと言います」


サクラはサイを睨みつつ、サスケは仏頂面で、サイは笑いながら自分の名前を名乗った。


「これから任務を説明する。これより我々四名は天地橋を目指し、どんなものであれ大蛇丸の情報を手に入れる」


今回の任務は大蛇丸はおろかナルセの情報が手に入るチャンスだ。うまくいけば大蛇丸暗殺にナルセ奪取をも成し得るかもしれない。

これより一時間後、忍具を整えた後に出発する。


補充要員
(ねえ、サイってナルセに似てると思わない?ずっと笑ってるところとか)
(…サクラ。お前、目腐ったか?)
(え!?ちょっと酷い!)


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