白い飯をおくれ
「んまい!」
久しぶりに食べた白のご飯。照れながら白は「ありがとうございます」と言った。
今日はあちこち出張に出てもらっている彼らにアジトで休息を取ってもらう。予定では向こう一週間は滞在できるはずだ。白の手料理をつまみ食いした暁のメンバーの驚いた顔はいい笑いの種になった。写真でも撮っておけばよかったと思う程だ。
「やっぱ白のご飯は最高だわ!ずっと手元に置いておきたいぐらい」
「あなたが任務を押し付けなければ解決しますよ」
「ぐっ…!」
いや、確かにハヤテくんの言う通りなんだが…!反論なんてできるわけがなくて机に突っ伏した。
暁が駐在する雨の国と大蛇丸の拠点の田の国の距離は短いとは言い難い。その間の移動時間を都合上別のことに当てなければいけない。ので、仕方なく、仕方なくこの三人に伝達係を務めてもらっている現状。だって暁の誰かを行かせると…ねえ?
「それで。僕達を今日呼び寄せた理由は何だ?」
ん?と顔を上げると目に入る白髪とオレンジ色の髪。君麻呂と重吾のことだ。さっき君麻呂が言ったように二人を用事で呼んだのはオレ。体を起こして茶碗を持ち直した。
「いや、単にお喋りでもどう?って」
「…は?」
「これから深〜い関係になるだろうからね。今のうちに仲良くなっておこう、ってさ」
呆気に取られる二人を前にオレは食事に戻る。ポリポリと沢庵を噛む音が脳に響いてきた。
「それだけ?」と重吾が疑うように尋ねてきたので「それだけ」と頷いた。
二人はそんな馬鹿な、とさらに疑いをかけているようだが、結構大事なことなんだぞ?上司と部下の関係ってのは。パワハラを未然に防いだりするために。こういう交流がブラック企業を減らすためにだな…いや、忍者っていうだけでもうブラックか。
「スネークは元気にやってる?」
「スネーク?…ああ、あのトカゲのことか。主に水月と香燐が交代で世話をしている」
「時々カブト先生が『いつ実験に使おうか』と呟いているけれど」
「ちょっ!?スネークのこと庇ってあげてよ!?ねえ!?」
オレに振り回されることですっかり苦労人気質を備えた再不斬組ははぁ、と大胆に溜息を吐いていた。
白い蛇をおくれ
(やっぱ連れて来ればよかった…!)
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