観客気取り
木ノ葉の里を出たオレ達一行は目的地、大蛇丸のアジトへと歩いて進む。
「あまりちんたらされると困るんですがねぇ」
「オレには急ぐ必要がないからな」
チッ、と文句を言った左近は舌打ちをした。態度が悪いやつだ。我、頭ぞ?お前らの頭ぞ?
捜索隊の構成員はおそらくシカマル、サスケ、チョウジ…キバとネジは怪しいな。原作通りならこのメンバー。今里に上忍、中忍の数はない。それはよく知っている。だけど100%と言い切れないのがつらいところ。
「もう一人の器候補、うちはサスケの方がまだ真面だろうに。なんで大蛇丸様はこんな特別でもないやつを…」
オレにも傷つく心とプライドがあるってもんだ。ああ、悲しいと思いながら変化の印を結んで前世の体へと姿を変える。
「これで答えになったか」
木ノ葉崩しの時この姿を見せたはずなんだけどな、とニヤリと笑った。見覚えあるんだろうなぁ。三者三様ならぬ四者四様の反応をしてくれてるんだもの。
変化を解いて跳躍。背にあった大きな木の枝に座る。それを見て左近が何か言おうとしたが、チッと舌打ちをして厄介なことになったと言った。
「一人…いや二人か」
「来るぞ!」
飛び出して来た敵襲に隊は左右に分裂する。鬼童丸と次郎坊はライドウが。多由也と左近はゲンマが。
「お前らは大蛇丸の…!」
ライドウが四人の顔に気付いた。木ノ葉崩しの時のことを思い出したのだろう。
双方気を緩めず対峙し続ける。重い緊張が広がった。
「方向からしてどうやら木ノ葉からの帰り道ってとこか。わざわざこんなところまで来て散歩ってわけじゃないだろ」
「上忍二人相手じゃ…ちとキツイぜよ」
鬼童丸が不敵に笑ったのを合図に、四人の体に呪印が浮かぶ。それを見てゲンマは警戒を高めた。
「問答無用か。不意打ちでやられた前回とは違うぞ」
「うっせえよカス。ちゃんと死んどけ」
「大蛇丸のおもちゃが…木ノ葉の忍を舐めんなよ」
左近のクナイを口にくわえた千本で弾いたことから戦闘は始まった。
「(ふぅん。オレとやった時はやっぱり全力でやってなかったわけだ)」
「(高見の見物だな)」
おや、九喇痲が久しぶりに顔を出した。ここ最近ずっと引きこもってたのにどうしてまた。九喇痲を抱えて膝の上に乗せる。
「(あいつら生かしとくと利用できそうだけど、正直死のうが生きようがどっちでもいいしな)」
「(クク、性の悪いやつだ。……あそこを出て、本当によかったのか?)」
「(……ああ)」
この前暴れた時は牢獄なんてぶち壊せ、って言ってたのにな。
これが正しい。何も間違ってない。たった一つ、求めるものに手を伸ばして望む結末を掴みとる。他に道はない。選択肢はない。後悔するわけにはいかない。いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。進むしかない。
いずれ壇上に上がるけれど
(これでいいのさ)
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