星の瞬き | ナノ

  掠め取る


憎しみで生まれた力などたかが知れている。ナルセに教えを請う時に言われた言葉が、今になってやっとわかった気がする。

憎しみは人を盲目にする。盲目のまま力を揮えば、大切な人まで傷つけてしまう。


「封印で最も大切なのは、サスケの心だよ」


封印式を施してくれた男が、首筋の紋をなぞりながら言った。


「何よりも強い意思が、その力を抑える枷になる」


今度こそは、この封印を解くわけにはいかない。この痛みを受け入れ、乗り越えれば強くなれるような気がした。

痛みで軋む体を駆使しながら、現在父親という立場を取ってくれている男に礼を述べた。

本来であればこの場に立っているのは幼馴染みのあいつであるはずなのに。立ち位置をオレが奪っているような気がして、そこから目を逸らして今息をしている。


「サ―スケ――ッ!!」


甲高い声が自分の名前を呼んだ。この数日ですっかり馴染んだ声だ。先程ナイーブな気分になっていたばかりだと言うのに。少しは空気を読んで欲しいものだ。

しかも少女は自らが持ち込む厄介ごとに周りを巻き込むばかり。今回もそうに違いないと思いながらも溜め息を吐いてサスケは振り向いた。


「…今日は何だ」

「あのね!あたしも仕事がしたい!」


よくよく考えてみれば今のあたしの状況はまさにヒモ…!楽っちゃ楽だけどあたしのプライドに大きく関わる。非常に喜ばしくない事態!そうリアナは主張した。


今更ではあるがここは火影邸。サスケはミナトに呪印の封印を施してもらうためにここを訪れたが、彼女はなぜここに、と思うところがある。

あるのだが、火影邸にいるのであれば綱手に相談すればいいものを、と言えばリアナは目を輝かせてすっ飛んで行った。騒がしいやつだがどこか放って置けないので、その亜麻色の後を追った。

火影室の中では女性の声が二種類。思いついたら即行動、とまあ無鉄砲に見える行動に呆れつつサスケも入室した。


「綱手様お願い!あたしに仕事をください!」

「仕事がしたいって言ってもなぁ…」

「例えば例えば〜あたしも任務に参加、とか?」

「無理だ」


ムキャー!ちょっと願望を言ってみただけじゃないデスか!?Dランクとかならあたしだって協力できそうだし……即答してぶった斬らなくたっていいでしょ!?

とにかく幼稚にリアナは文句を言った。


「ねえねえねえ綱手様おねが〜い!ヒモは嫌なんデスぅ〜!」

「ああもう!わかったよ!アカデミー卒業レベルの忍術がもし使えるようになったら考えてやる」

「ほ、ほんとデスか!?」

「ほんとほんと」

「いい女に二言はありませんからね!?」


キャー!やったー!と騒動の元凶は去っていった。何だったのだ、と思いつつ綱手に「なんとかしとけ」と目で命令されたサスケは顔を歪めながらも再びリアナを追っていった。

突然やって来て突然去って行った嵐に半分呆けながら、シズネは綱手の横顔を窺った。


「いいんですか…綱手様?もしリアナちゃんが任務に参加するようになったら……」

「どんな天才でもアカデミー卒業には数年かかってきた。これで数日は穏やかだねぇ」


やれやれ、と肩を竦めながらもどこか朗らかな顔で綱手は湯呑みを傾けた。


強引な
(こうなったら修業デス!付き合ってもらいますよ、サスケ!)
((これは外れクジか何かか……))


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