嫌なものは嫌
前々からイルカ先生と一楽でラーメンをご馳走になる約束をしていた。何て言うか、最近イルカ先生と会うのって一楽でばかりなんだよね。
一楽でイルカ先生とラーメンを食べていると、アカデミーを卒業したばかりの時に先生に奢ってもらった時のことを思い出す。
「先生の言った通りだった。守りたいものって後から見つかるんだね」
確かにいまだこの仕事をし続けたい、なんて思ってはいないけれど多くの大切なものを見つけたのも本当のことだ。悔しいけれど、ね。
きっといつかこれがいい経験になったと思える日が来るのだろう。それならばそれで良しとしようではないか。前の人生だってそうだったんだからさ。
さあさ、先生が奢ってくれるんだから有難ーく頂くとしましょう。お行儀よく手を合わせて箸を手に取る。
「で、先生の彼女にはいつ会えるのだろうか?」
「〜ッ!!お前はそれしか言わないのか!!」
*****
少々野暮用があり、綱手の元を訪れた。山積みの仕事に追われているらしく、疲れが顔に表れていた。お疲れ様です、と労わる。
「頼む!手伝ってくれ!」
「お断りします」
「このとーぉり!」
「お断りしますって」
里のためにも、オレの仕事を減らすために頑張ってもらいたいものだ。
いや待て、その前に下忍の子供に火影の仕事を手伝わせるってどういうこった。どう考えても間違ってるだろ。
「頼むよナルセー、三代目から困った時はお前を頼れと言われたんだ」
な、なんてことをしてくれてるんだあのじじいは…!
「あのな、綱手様。オレ、一応里では落ちこぼれというか駄目な人間で通してるからさ。ま、つまりだ……無茶言うな」
「いいじゃないかそんなこと。この機にお前も一気に昇格しちまえ。いっそ火影の補佐役なんてどう「断固拒否。絶対嫌」
手で×印を作り首を振って拒否の意志をこれでもかというくらい示す。ノー!却下。絶対嫌だ。断固拒否。
綱手の隣に立っているシズネは申し訳なさそうに、困ったようにハハハと笑っていた。
「いいですか、綱手様。あなたを火影にと推薦したのはオレですが、あなたにはもっと自覚を持っていただかなくては」
「あー!説教ならよしとくれ。シズネから嫌と言うほど聞かされてるんだ」
「それなら仕事を再開させましょうか」
トントン、と机に広げられている書類を指で叩く。そんな嫌そうな顔をされても加減しませんからね。
シズネさんと目が合った。スパルタ者同士、通じるところがあったのだろう。目を合わせてにーっこりと笑った。
たまには諦めも肝心
(オレに仕事回されるなんて堪ったもんじゃねぇ)
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