アカデミー卒業試験@
「そう、だな。君にとっておきの秘密を教えよう」
口元を歪めて、彼はオレにそう言った。
今日はアカデミー卒業試験の日。
正直オレってば忍者になりたいわけじゃあないんだよね
この世界の知識とか必要だし、三代目のじーさんから言われたから一応卒業するけどさー。一応ね
卒業試験の課題は分身の術。三体の分身をテンポよく出現させて見事合格。まあ当然だよね
「ナルセもとうとう卒業かあ。寂しくなるなぁ…」
「そんなイルカ先生はとっとと結婚するべきだってば」
「余計なお世話だぁぁぁああああっ!!」
イルカ先生の怒声をBGMに教室を退出する。
そう怒鳴るから彼女ができないんだぞ☆
教室を出て、校舎を出て。少し朽ちた校舎を見上げる。
とうとうこのアカデミーともおさらばだ。
長かったなあ、うん。地味に長かった。
こんなに感慨深くなるなんて。年はとりたくないもんだね
近所の公園でブランコをきーこきーこと漕ぐ。
九喇嘛はオレの頭の上。お前太ったか?ちょっと重くなったぞ
とにかく、だ。これからどうするかだよなあ。
確かこの後演習があるんだよな。鈴取合戦。そこで落ちればいいよな。同じ班になった子はドンマイ!
それがダメなら中忍選抜試験がある。そこでやっぱオレには自信がありませーんとか嘘八百並べて引退すればいいや
そんでもって、父さんと母さんが目覚めたらニート生活一直線だろ?完璧じゃん。
ミッションもあるけど、まあそれはどうにかなるだろ
まあ煩わしいと言ったら、公園の入り口でたむろってるおばさん達のことかな?人里に出るといつもこうだから嫌なんだよ
確かナルトは木ノ葉の里を襲った長門兄さんを倒して英雄視されるようになるんだっけ?
オレダメじゃん!長門兄さんとめっちゃ仲良いじゃん!
長門兄さんも最近平和活動をしてるから里を襲うとか絶対考えてないじゃん!
こりゃあ森の中でひっそりと暮らし続けるのも視野に入れとかないとな。
こんな感じで人生設計を立てているとオレに影がかかる。
誰だよと思いつつ顔を上げれば卒業試験の試験監督をしていたミズキ先生が。
「少し話をしてもいいかな?」
*****
話をしてもいいかな?
ダメダメ、ノーセンキューだってば!
前世はここまで人嫌いじゃなかったけど、転生してからの経験で人と話すのが億劫になったんだよ
だというのに、人を引きずってなんかぺらぺら話し出すし。こいつしばくぞ…
ま、話をまとめると
「火影が持っている封印の書を持ち出し、その書に書いてある術ができるようになれば君は里の皆から認められる」
だそうで。
さてさてみなさん。声を揃えまして
「何言ってんだこいつ?」
封印の書ってあれだろ?多重影分身の術とか載ってるやつだろ?それならもうどこかのスパルタ二人組のおかげで会得済みだっての。
だいたい何?里の皆から認められる?
認められるんじゃねえ。オレがわざわざ認めてやるんだよ
オレを認めるのはオレが認めた極少数の人間ができるんだよ
なにオレ様のことを上から目線で「認めてやる」なんて言われなきゃいけねえんだ。この世の全てはオレ様のためにあるんだ!ハッハッハー←
で、これオレが相手しなくちゃいけないの?話聞いて思い出したけど、ナルトは確かこのイベントで卒業できたんだろ?
オレもう卒業しちゃったし。
だから相手しなくていーよね?別に大丈夫だよね?
「いいよね、じーさん」
「そうじゃのう…」
え?三代目に話していいのかって?
いいじゃん別に。面倒だし
じーさん火影だしなんとかしてくれる!…はず
「すまんがナルセ、これを持ってミズキのところへ行ってはくれんか?」
なんとかしてくれませんでしたー
期待を裏切らないでほしいよね、まったく
なんでオレがそんな面倒なことをしなくちゃいけないんだよ…
「礼は新作団子のセットでどうじゃ?」
「しっかたないなー、もう!」
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