弟と木ノ葉丸
忍者登録書
まあいわゆる履歴書みたいなもんだよね
下忍になった際、これを提出して火影と面談。
これさ、元いた世界で考えるとさ。トップといきなり面談、つまり社長との面談だよね?
よく耐えれるな。プレッシャーとか感じないんだろうか、ここの子供達は。
ま、いっか。とっとと終わらせて帰ろう
おばさん方がなんかグチグチ言ってるけど、無視するに限る。いちいち反応してたらきりがないんだよね
「やっほーじーさん、元気だったってば?」
「ナルセか、お前もやっと下忍なんじゃの」
そこから三代目のじーさんと和やかに対談を。
今日は天気がいいね、とかあそこの甘味処の饅頭なかなかいけたよ、とか。
え?面談?そんなのオレに必要ねえよ、ハハハ☆
「ナルセの兄ちゃん!」
手を振りながら走り寄ってくる姿は、低くなったオレの身長よりもさらに低いもの。
三代目火影、猿飛ヒルゼンの孫でありオレの弟のような存在。木ノ葉丸だ。
「よォ、木ノ葉丸。久し振りだな。どうかしたか?」
木ノ葉丸の身長に合わせるためにしゃがんで問う。木ノ葉丸は弾んだ息を整えている。
「ナルセの兄ちゃん、修行をつけてほしいんだコレ!」
*****
場所は変わってここは近所の森の中。
あそこにいたままじゃあ人様の迷惑になるからな
「修行…ねぇ。前もそう言ってたな。どうしてそんなに焦るんだ?」
オレがそう言えば木ノ葉丸は顔を俯かせた。
「俺さ、火影の孫だろ?だからみんな火影の孫って俺を呼ぶ。俺には木ノ葉丸って名前があるのに。木ノの里に馴染んでる名前なのに…誰も呼んでくれないんだ。
だからジジイを倒してみんなに認めてもらうんだ」
ああ、そんな話もあったっけな?
自分の身の上のコンプレックスに悩む少年の話。
よくあることだ
本当の自分を見てもらいたくて、でも皆見るのは自分であって、自分じゃないもので
でもな…
「木ノ葉丸もまだまだなんだってば。己を見て欲しい一心だけでは火影にはなれない。なぜだかわかるか?」
オレからの反論に思わずたじろぐ木ノ葉丸。きっと兄のように思っているオレからこんな言葉が出るとは思わなかったのだろう。
幼いその頭で必死に答えを見つけようと思案しているが、顔を顰めていくばかりだ。
「火影とは、周りに気を配れる強い人だからこそなれるものなんだってば。じいさんを思い出してみろ。いつも里の者のために、と考えているだろう?
火影とは、他人のことを一生懸命に思っているからこそ、みんなから認められるんだ。わかるな?木ノ葉丸」
オレの言葉を聞いて、納得できたのか途端に目を輝かせる木ノ葉丸。
「さ、さすがナルセの兄ちゃんだコレ!考えてることが違うんだぞコレ!これでオレも火影になれるのか!?」
自分を見てもらえるのか、と。
「ああ、木ノ葉丸ならなれるさ。お前はもう火影になれる条件を学んだのだから。
でも認められてないって思いつめるときがいつか来るかもしれないってば。だからオレはお前を見ててやるよ
お前はオレの大事な弟だ。一生懸命がんばるんだってば」
にこっと笑って、木ノ葉丸の頭をぐしゃぐしゃと撫でまわす。
無邪気に笑う木ノ葉丸を見て、つい昔のことを思い出す。
ああ、弟よ。血の繋がった弟よ。
お前のことが憎たらしくもあったが、お前と喧嘩した日々が今は懐かしい。
人との付き合いが苦手なお前であったが、大事な人ができただろうか。日々を笑って過ごせているだろうか。
大事な弟二人に誓おう。
お前のことも、木ノ葉丸のことも
愛し続けると
(よし、今日は【影分身の術】をするぞ!)
(おお!!)
―――――
今回はかなり短め。
ちょっと短すぎた気もするが仕方ないよね←
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