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 みじかいものまとめ。

57 カラメルプリン
 形を崩さないように皿に乗せる。ゆっくり型からおりてきて、カラメルがあとをすべる。
 黄色い小山が皿に落ちた頃にはカラメルの海ができた。
 スプーンで小山を削ってカラメルとからめる。
 甘くて、苦い。苦くて、甘い。
 カラメルだけでは苦すぎるから、甘いプリンと一緒に。
#文章飯テロ
2013.12.28
56 ベリータルト
 フォークを突き立てるとプチっと音を立ててブルーベリーが潰れた。
 皿につくまで突き刺すと、サクッと鳴る。
 ふわふわなスポンジの下はサクサクのタルト生地、上は甘い生クリームと甘酸っぱいベリー。いっぺんに甘い物を口の中に入れるのに全然甘くない。
 もう一口と何度もフォークを刺す。
#文章飯テロ
2013.12.27
55 ベリークッキー
 一口食べるとサクッと音がした。キツネ色に焼けた生地が甘く口の中で砕ける音。
 もう一度食べるとじゅわりと甘酸っぱいソースが口の中に染み渡った。ベリー系はまちがいないだろう。苺かな、ラズベリーかな。
 確かめるためにもう一度。
 サクッという音とともにじゅわりと広がった。
#文章飯テロ
2013.12.27
54 見間違い
「あ」
 声をあげたときには遅かった。マンションの屋上から人らしき影が落ちていた。
 自分があげた声を迷惑そうにみる人もいれば、手で口を覆っている人も、電話をかける人もいた。マナーなど守っていられない。
 でも、私は潰れた死体を想像し吐き気を我慢するしかできなかった。
2013.11.21
53 隠し味
 骨を甘く砂糖で煮詰めると、おいしいお菓子の素になる。母さんがそう教えてくれた。
 甘くなった骨を粉にして作ったケーキは格別。白いクリームはなによりも甘くて舌触りがいい。口に含んですぐ溶ける。甘くて黄金色のスポンジは歯で噛む前に甘さがすぐに伝わる。
 ああ、新しい骨の砂糖煮作らないと。
#ノベルちゃん三題
「骨、ケーキ、歯」
2013.09.26
52 花と少女
 電車の窓から男性が花を持っている姿が見えた。オレンジの花を一輪だけ抱えて電車を待っているらしい。誰かの墓参りやお見舞いだろうか。
 少し身を乗り出すようにして見ていると、花は花でも女の子の麦藁帽子についた造花だった。振り向いた女の子のと目が合い手を振る。女の子は笑顔を咲かせた。
2013.08.29
51 プリンを取り出す方法
「見よ! この芸術的作品を!」
「芸術的かはともかくとして、これ何?」
「ぷっちんできないプリンをぷっちんする螺子だ!」
「へー。それで、どうやるの?」
「プリンをひっくり返して螺子を刺して巻くだけ。簡単だろ?」
「簡単だけど、この鋭さだと穴空くよね?」
「そこは愛嬌」
#ノベルちゃん三題
「プリン、螺子、芸術」
2013.08.19
50 足りない
 どれだけ食べても満腹にならないというのに、君はいつも嬉しそうにご飯を作ってくれる。
「作ってくれた物を美味しそうに食べてくれたなら、なんだっていいよ」
 そう笑ってポテトを使った美味しそうな料理を僕の前に出す。でも、それはあっという間になくなる。
 もっと頂戴。例えば、君とか。
2013.08.12
49 腹に住まう君
 僕のお腹はブラックホールだ。
 好きな物を好きなだけ食べても満腹にならない。常に空腹感が僕をつついている。早く食べ物をよこせと。君は僕の中で楽に食べて生きているくせに。君がいなくなれば満腹感がやってきてくれるのだろうか。
 無理か。
 しなびたポテトを食べながら、何回めかのため息をもらした。
#ノベルちゃん三題
「ブラックホール、君、ポテト」
2013.08.12
48 ラベンダー
 窓から入った風が花の香りを運んできた。それはとても懐かしい香り。
 思い出したように小箱から瓶を取り出すと、紫色の花が前より少し暗くなっていた。色が変わった分だけ時の流れを感じる。
 これをくれた彼はまだ戻らない。
 まだ待てる。待つことに疲れるにはまだ早い。
#夏ヒトヒラ
「ラベンダー」
2013.07.27
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