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「スレイさん」
地下水路を歩いている最中、スレイはライラに呼び止められた。
「何?」
「アリアさんのことなのですが」
スレイはそれを聞いて察する。
アリアをミクリオの元へ向かわせたのは、このためだったのではないかと。
「彼女の内からは、何か強力なものを感じます。それが天族によるものなのか、はたまた憑魔によるものなのかはわかりませんが……とにかく、人外であることは間違いないでしょう」
スレイがあの聖堂で暴動を押さえようとしたとき。
その時彼女は、両目が赤く光り、雷の天響術を使っていた。
それは、彼女の内にある何かのせいだったのかと、スレイは納得する。
もしそれが天族だったとしたら、天響術が使えるのも納得だ。
「彼女は何かを隠しています。だからスレイさん。彼女をあまり信用しすぎないで。彼女の内に秘める力は、味方と決まったわけではありませんから」
ライラが不安そうな顔でスレイを見つめる。
もしアリアの内の力が味方になれば、それはスレイにとって大きな助けとなるだろう。
だが、もし敵に回ってしまった場合、スレイはアリアという大きな壁を越えなければならない。
「……わかった。アリアのこと、ちゃんと見ておけばいいんでしょ?」
「ええ、お願いしますわ」
ライラはそう言うと、再びスレイの内に戻っていった。
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