※マグル学生設定 「はっくしょん!」 服の下からピピピと機械音が鳴り、脇の下に挟んでいた体温計を取る。そこに表示された数字は38,7℃。ああ、どうりで体がダルくて頭が痛くて寒気がするわけだ。なんていうか僕でも風邪引くんだなぁなんて考えながら、今日は学校休むと皆に連絡するためにLINEを開いた。
7:21 (風邪引いちゃった↓今日は休む↓} シリウス {了解) 7:58 リーマス {了解) 8:12 リリー {りょ) 8:38 八重 {り) 8:38 もそもそと味気のないお粥を食べながら返事を待っていたけれど、皆からきた返事はたったこれだけ。思わず嘘でしょ、と声が漏れた。酷い、酷いよみんな。もっと心配してくれてもいいんじゃないか。ピーターに至っては返事すら来てないし。 悲しみに打ちひしがっていると、携帯が短く鳴った。LINEがきたようだ。
ピーター {熱が39,2℃だから休むね…) 9:10 9:11 (お大事に!} ピーター {ありがとう。ジェームズもね) 9:13 9:13 (僕は全然平気さ!} ピーターも風邪だったらしい。酷い風邪じゃなければいいけど。ベッドの上でボーッとしながら携帯が鳴るのを待っているが、一向に鳴らない。今は授業中だから返事がこないのかなとも思ったけど、シリウスがいつもコソコソしながら携帯を使ってるのを僕は知っている。うーん、寝てるのかな。僕も頭がボーッとするし、少し寝ようと思う。 …レ♪ ーッテレ♪ ーーテッテレ♪ 携帯の音で目が覚めた。時計をみると12時43分。もうお昼かー、と思いながら携帯の画面を点けるとLINEがたくさんきていた。さて、僕を心配するメッセージはどれくらいきてるかな。
リリー {ピーター大丈夫?) 9:40 {ちゃんと病院行くのよ?) 9:40 ピーター {これから行ってくるよ) 9:45 八重 {ピーターの好きなゼリー) 9:45 (買っといてあげるね ) シリウス {バカでも風邪引くんだなw) 9:45 リーマス {お大事にね。ノートはあとで) 9:46 (見せるから心配しないで) 思わず携帯を落としてしまった。だって、僕の時と反応が違いすぎない?みんな了解だけだったじゃないか。八重に至っては彼女なのに一字だけだし。はぁ、とため息を吐いて、切ない気持ちのまま胸に落ちた携帯を取りメッセージの続きを読んでいく。
シリウス {薬もらったか?) 11:26 ピーター {うん。もう少ししたら) 11:40 (薬が効いてくるみたい) リリー {シリウス授業中に携帯) 11:41 (使ってんじゃないわよ) 八重 {ピーター住所教えて) 11:42 {プリントとお見舞い持ってく) 11:42 熱のせいなのかなんなのか、目に熱いものが込み上げてきた。泣いてない、これは汗だ。それにしてもここまで扱いが違うものだろうか。僕がなにかしてしまったのか。あれかな、愛情の裏返しってやつかな。それとも全然平気って送っちゃったから心配してないのかな。っていうか…あれ?僕にはお見舞い来てくれないの?…………泣いてない、泣いてないからね。
リリー {今日は天気がいいから外でランチしましょ) 12:41 八重 {おっけー) 12:41 リーマス {今授業終わった!) 12:43 {購買で買ってから行くね) 12:43 シリウス {リーマスの分のカスタード) (メロンパン買っといた) 12:43 {外にいっから) 12:44 八重 {外のどこだよ) 12:44 未読だったメッセージの最後の方は、もう僕たちの話題ですらなかった。日常すぎるいつものやり取りだ。だけど僕は悲しくてしかたがない。ピーターに対して送られた大丈夫?とかゼリーいる?とかそういうメッセージが僕には一切ないからだ。むむむ…
シリウス {背中にコブのある隻眼の魔女の像んとこ) 12:45 八重 {りょ) 12:45 リーマス {シリウスありがとう) 12:46 12:50(なんとか熱が引いてきたよ〜} 12:52 (明日なんか持ってくものとかある?} 構ってちゃんだと言われたってかまわない。しびれを切らした僕は熱があることをさりげなく伝えて、質問文を送ることによって必ず返事がくるようにすると言う最終奥義を使うことにした。 さて、汗かいたしお風呂入ってこよう。 ─── ── ─ 《新着のメッセージはありません》 30分ほどしてお風呂を出た僕が見た携帯の画面にはそう書いてあった。オーマイガー、どうしてなんだ。13時半過ぎてるから授業始まったのか、いやでも僕がお風呂出るまでに30分以上あったし誰も携帯見ないなんてありえない。やっぱり僕がなんかしちゃったのだろうか。ああ、なんか色々考えてたら頭が痛くなってきた…。ちょっと、横に、なろう。 ≪ | ≫ Top |