2 土埃が舞い、辺りには煙が立ちこめている。そして、ひやりと首筋をなぞる冷気。 (あぁ…またこの夢だ) 「ジジィっ!!!よくもっ…」 「…すまないっ……本当に……私は、」 老体からは力が抜け落ちて、瓦礫の散らばった床に膝をつく。柱に背を預けて首をやっと動かせる程に満身創痍のスクアーロには9代目ボンゴレボスの表情はハッキリは見えない。 ただ、はっきりわかることは先程まで9代目と戦っていた主の敗北。 手も足も動かない。今すぐ立ち上がって、9代目に切りかかりたい。 なぜ なぜ 動かないんだ 動けないんだ 主を守れなかったクセに 本懐も遂げられず 主の剣のクセに こみ上げる涙を必死で抑えた。悔しくて悔しくて、主の側へ行くこともできずに柱のにもたれて深く呼吸をした。耳なりがする中、辺りが騒がしくなった気がする。 「いたぞ!!こっちだ」 「9代目っ!ご無事ですかっ!?」 遠くで9代目の護衛とボンゴレ門外顧問の家光の声がすると、視界が暗くなった。 (あぁ、また…いやだ…目覚めたくない) 真っ白な天井に真っ白なカーテン、鼻をつく消毒液のにおい。蒼銀の目がどこともなく宙を見つめる。 先のない左腕には点滴と、右腕にはベッドに固定された拘束具。 コンコン 「……」 ノックを無視しようとすると、勝手に扉が開かれた。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |