小説 | ナノ








土埃が舞い、辺りには煙が立ちこめている。そして、ひやりと首筋をなぞる冷気。


(あぁ…またこの夢だ)



「ジジィっ!!!よくもっ…」

「…すまないっ……本当に……私は、」


老体からは力が抜け落ちて、瓦礫の散らばった床に膝をつく。柱に背を預けて首をやっと動かせる程に満身創痍のスクアーロには9代目ボンゴレボスの表情はハッキリは見えない。


ただ、はっきりわかることは先程まで9代目と戦っていた主の敗北。


手も足も動かない。今すぐ立ち上がって、9代目に切りかかりたい。


なぜ

なぜ

動かないんだ

動けないんだ

主を守れなかったクセに

本懐も遂げられず

主の剣のクセに



こみ上げる涙を必死で抑えた。悔しくて悔しくて、主の側へ行くこともできずに柱のにもたれて深く呼吸をした。耳なりがする中、辺りが騒がしくなった気がする。


「いたぞ!!こっちだ」

「9代目っ!ご無事ですかっ!?」

遠くで9代目の護衛とボンゴレ門外顧問の家光の声がすると、視界が暗くなった。




(あぁ、また…いやだ…目覚めたくない)



真っ白な天井に真っ白なカーテン、鼻をつく消毒液のにおい。蒼銀の目がどこともなく宙を見つめる。
先のない左腕には点滴と、右腕にはベッドに固定された拘束具。



コンコン


「……」

ノックを無視しようとすると、勝手に扉が開かれた。


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