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そもそも昨日のことはあまり思い出したくない。



朝、日課のトレーニングを終えシャワーを浴びるために部屋へもどったスクアーロが何気なしに携帯を見ると、10時に跳ね馬からそちらへ行く。とメールが入っていた。
「ちっ…なんの用だぁ?こっちの都合はお構いなしかよ」

今は朝の9時前。

今からシャワーを浴びて髪を乾かしてギリギリだろうか。
一応今日は非番だが、なぜヤツはそんなことを把握してるのか…などと舌打ちしながらバスルームへと向かった。


「やっぱりメアドなんて教えなきゃよかったぜぇ…」

会う度しつこくせがまれて、うざかったからメアドくらいいいか、と教えたら毎日おはようとおやすみ、さらに今何してるだのお前は俺の恋人か?と言うくらいにメールがくるようになった。
女にマメな男は結構いるが、これはマメというかうざい。

「ぎゃっ」
シャワーを捻ると水が出た。
湯が出ないことなどよくあることだが、今は3月。冷たい水に思わず叫んだ。

「ついてねぇぞぉ」


湯が出るまで待ち、髪を乾かしていたら本当に跳ね馬が到着する時間ギリギリだった。

「やぁ、おはようスクアーロ。今日も美しいね」
部下が運転する車から降りるなりそう言い放つ無駄にキラキラ輝く金髪の男を冷ややかに見やる。

「お前、用があんなら早めに言えよ。こっちの都合も考えろぉ。」
透き通るような白い肌に美しく伸ばされた銀髪を輝かせた長身の女、スクアーロは目の前の男を睨んだ。

「で、なんの用だぁ?」


「そうそう、プレゼントがあってさ。」

「プレゼント?」

「あれ?」
車の後部座席に身を乗り入れ何かを探すディーノを不思議そうに見つめる。

「もしかして…忘れてきたかも」
「ボスゥ!しっかりしてくれよ」
探し物はどうやら忘れてきたらしい。部下がいても頼りなさは天下一品のこの男はどうみてもいちマフィアのボスには見えない。

(情けないのは…まぁウチの]代目もだけどよぉ)


「忘れてきたならまた今度でいい…っつーかプレゼントなんていらねぇぞぉ」

何を渡すつもりだったのかは知らないが、この男は歳々プレゼントを押し付けてくる。
うんざりしながら受け取りはするものの、大体後でザンザスが焼き捨ててしまうのだ。

「あ、そうだ!スクアーロ、屋敷まで来てよ。」

突然跳ね馬が面倒なことを言い出した。


「お願い、俺今日逃したらしばらく日本に出張なんだ!」


言うなりスクアーロの腕を掴んだ。
「う゛ぉぉぉぉい、俺は行くとは言ってねぇぞぉ」


騒ぐスクアーロを無理やり押し込みドアをしめ、車は走り出した。

その様子をザンザスが自室の窓から見ていたことには誰も気付きはしなかった。


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