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このことを一瞬、目の前が真っ白になった・とでも言うのか。
突然の側頭部への衝撃に、当然のことながら柔らかい眼球は耐え切れずに数秒ほど視界がはっきりしなくなる。


「きゃあ!ボスッ!!!だめよお!!!!やめて!」

女言葉の男の声が聞こえた。


(殴られたのか)


思ったより頭は冷静で、目が見えなくても状況の確認をすぐさまできた。



「・・・カスが!!・・・おい、立て!!誰が座り込んで良いと言った?」


「ふ・・・ぅっ・・・・」


1時間も経たないうちに、綺麗に梳かした銀色に輝く髪の毛は無残に根元からわし掴まれた。ぐっと引っ張りあげられ、額の皮膚が引っぱられてスクアーロは眉間に皺を寄せる。

(クソッ・・・今日は機嫌悪ぃなぁ)


段々とはっきりしてきた目線の先には、真紅の目をした鬼が立っていた。
日頃から眉間に皺を寄せている彼は、怒ると一層皺を深く刻み手当たり次第に破壊してしまう。その姿は強面揃いのマフィアの中でも恐れられるほどだが、スクアーロはその様子を恐ろしいとは感じたことがない。
目を細め、口を開く。


「・・・気が済むまで、好きにしろぉ・・・」



スクアーロはそう言って自身の髪を掴んで見下ろす男に、笑いかけた。



(怒り狂ってる、お前が好き。)


何を苛立ってるのかは知らない。知る気もない。
ただ、役に立ってるならなんだって良い。


「馬鹿にすんな、ドカスが!!!」



気絶するまで殴られ、気付いたらベッドの上だった。


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