8 ―任務内容は本当に糞だった。 綱吉の会食への護衛としてホテルへ同行、綱吉のそばに武を残して同ホテル内に滞在中の目標を探し出し暗殺する。 何事もない、つまらない仕事だった。 (俺を使ったのは武のアリバイ作りの為かぁ?) 日本にいるボンゴレファミリーで、太刀傷をつけられた死体が出て困るのは剣士の武しかいないだろう。 自分が入国していることは公になってはいない。変装もさせられている。 武はホテルに入ってからずっと会食の席で護衛をしているので会食の相手が証人となる。 (めっちゃだりぃぞぉ…) そんなことの為にわざわざ来なくても良かったんじゃないかとため息をついた。 (他の方法とかあっただろうに) 先に車に戻り、ひとりでグダグダ考えているとドアが開いた。 「おまたせ〜。ちょっと長引いちゃった。ごめんね、お疲れ様」 暗い駐車場では顔色はよくわからないが、酒が入っているのかいつにもましてフワフワした様子の綱吉が後部座席に乗り込んでくる。 「遅せぇぞぉ」 「スクアーロ仕事早くて大分時間持て余してたのな?」 武が運転席に乗り込んだ。 「こっちが早く切り上げるのも不自然だしね〜。時間的には予定通りだよ。」 綱吉がにっこりとこちらを見る。 「じゃあ、次行こうか。」 「次ぃ?!聞いてねぇぞぉ!??」 スクアーロは思わず声を荒げた。予定外のことに何を言い出すんだ、とばかりに綱吉を見つめる。 「ふふっ…次は接待だよ」 暗闇の中、綱吉が悪戯っぽくニヤリと笑った。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |