3 華美な装飾の施された、およそ実用性の無い受話器の向こうで、まだ少し幼いようなしかし数年前に比べ凛と落ち着いた青年がジャッポーネらしい丁寧な口調で謝罪を述べた。 受話器の前で土下座でもしてるんじゃないか。 「この度は大変ご迷惑をおかけしております。本当に、申し訳ありません。謝って済むことじゃないけど、・・・それで、スクアーロの様子はどう?」 「ふんっ、自室に待機させてる。俺のこともわからねぇヤツに屋敷内をウロウロされても迷惑だ。」 「ほんっとにごめんなさい。でも、この装置は記憶のリカバリーが可能なんだ。急いで復旧させるから、それまではヴァリアーは休業でいいかな?」 当然だよね、とでも言うかのように年若いボンゴレ]世がそう言った。 「は?なんてアイツのために全体が休業しなくちゃならねえんだ?!」 「いや、問題はスクアーロより君なんだけど・・・」 コンコン 「「ボォスゥ〜〜〜〜〜!!!たすけてぇ!!!!」」 ノックと共に普段あまり表情を変えないベルフェゴールとマーモンが真っ青になって飛び込んできた。 「なんだ?」 「先輩が、おかしい!」 「あんなのスクアーロじゃないよ、っていうか僕子供苦手なんだよ!」 どう見ても子供・赤ん坊の姿をしたマーモンから『子供が苦手』と言われても。 否、子供・・・? 「まて、何を言ってるんだ」 「スクアーロがまるで子供なんだってば!面倒みられないよ!」 そう言って縋り付く2人に、目の前が真っ暗になった気がした。 スクアーロは元々ガキのようなヤツだが、この二人のうろたえぶりからしてそういうことじゃないのだろう。 「沢田、今日中になんとかしろよっ!」 ザンザスはそう怒鳴りつけると、受話器を叩きつけて部屋を飛び出し、スクアーロの部屋へと向かった。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |