+1 「スクアーロ」 「んっ」 「スクアーロ」 「…しつこいぞぉっ」 白く細い指がパッと開かれ、すりよってくるザンザスを静止した。 あからさまにムッとした表情でその手に自身の指を絡ませ、ベッドに縫い付けた。 「…嫌か…?」 「…嫌…じゃねぇけど……」 日頃から鍛えているが、戯れと言えど流石に女のスクアーロの力では適わない。否、最初から何もかもが適わないのは知っている。だからこそ、剣士として側にいることを願った。 (お前の女になる願いなんてなかったけどなぁ) 抵抗もせず、ただじっとザンザスの紅い瞳を見つめた。 「なんだ?」 「いや…その…」 紅い瞳に凛々しい顔立ち、特徴的な二股の眉毛、大きくてゴツい手。 初めて抱かれてから急に意識するようになった、男としてのザンザス。それはとても格好よくてなんだか胸がザワザワする。きっと、世の女達はこの男を手に入れようと必死だろう。男の魅惑的な厚い唇はたくさんの女を口説くのだろう。 この歳できっと女性経験は豊富で、自分は物珍しさから抱かれたに違いない。そんなことを考えていると、次第に目頭が熱く鼻がツンと痛くなる。 「…なんで」 「ん?」 「なんで、…俺を男として扱わない…ん…だぁっ…」 突然グズグズと泣き始めた腕の中の少女は、とても以前のような少年にしかみえないような風体ではない。 「…」 ふぅっと溜め息をつくと、ザンザスはスクアーロの頭を撫でた。 「テメェは、思ってる程ガキでもないし男でもない。女なんだ。」 「それはっ…でも俺はそこらの男よりも強ぇし…!」 「だからなんだ。強いヤツなんていくらでもいるし、現にお前はディーノにも適わなかっただろう。だから簡単に攫われる」 「それは、寝てるところを薬で…」 「相手がディーノじゃなかったら?実際の殺し屋や強姦魔だったら?テメェは自分の身も守れねぇ」 「う゛…」 「もっと自分のことを知れ。」 温かい手のひらが長い銀色の前髪をかきあげた。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |