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「スクアーロ」


「んっ」


「スクアーロ」


「…しつこいぞぉっ」


白く細い指がパッと開かれ、すりよってくるザンザスを静止した。
あからさまにムッとした表情でその手に自身の指を絡ませ、ベッドに縫い付けた。

「…嫌か…?」


「…嫌…じゃねぇけど……」


日頃から鍛えているが、戯れと言えど流石に女のスクアーロの力では適わない。否、最初から何もかもが適わないのは知っている。だからこそ、剣士として側にいることを願った。

(お前の女になる願いなんてなかったけどなぁ)

抵抗もせず、ただじっとザンザスの紅い瞳を見つめた。


「なんだ?」


「いや…その…」


紅い瞳に凛々しい顔立ち、特徴的な二股の眉毛、大きくてゴツい手。
初めて抱かれてから急に意識するようになった、男としてのザンザス。それはとても格好よくてなんだか胸がザワザワする。きっと、世の女達はこの男を手に入れようと必死だろう。男の魅惑的な厚い唇はたくさんの女を口説くのだろう。
この歳できっと女性経験は豊富で、自分は物珍しさから抱かれたに違いない。そんなことを考えていると、次第に目頭が熱く鼻がツンと痛くなる。



「…なんで」


「ん?」


「なんで、…俺を男として扱わない…ん…だぁっ…」


突然グズグズと泣き始めた腕の中の少女は、とても以前のような少年にしかみえないような風体ではない。


「…」

ふぅっと溜め息をつくと、ザンザスはスクアーロの頭を撫でた。


「テメェは、思ってる程ガキでもないし男でもない。女なんだ。」


「それはっ…でも俺はそこらの男よりも強ぇし…!」



「だからなんだ。強いヤツなんていくらでもいるし、現にお前はディーノにも適わなかっただろう。だから簡単に攫われる」

「それは、寝てるところを薬で…」


「相手がディーノじゃなかったら?実際の殺し屋や強姦魔だったら?テメェは自分の身も守れねぇ」


「う゛…」



「もっと自分のことを知れ。」

温かい手のひらが長い銀色の前髪をかきあげた。



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