小説 | ナノ







「すっっっごい綺麗だよ、スクアーロ!!可憐だ!」
ディーノが騒いでいる。もう、好きにしろ。状態になっていたスクアーロはディーノの賛辞を受け流し、応接間のソファへと座った。

「どういうつもりだかしらねぇが、俺で着せ替え遊びはやめてくれ・・・。そんなんするのはルッスだけで間に合ってるぜぇ」

大きくため息をついたスクアーロにディーノが言った。
「遊びじゃないよ。本気で綺麗だと思ってるし、昔から好きなんだ。」
「だから、お前・・・いつも言ってるけどよぉ」
「わかってる。お前はザンザスがいいんだろ?だからちょっとくらい夢見させてよ。」

(何が「だから」なのかわかんねぇ・・・)
この問答はもう会う度のような気がする。
いい加減会話も面倒になってきたスクアーロは気になっていたことを聞いた。

「ザンザスとディナーっていってたよなぁ?ボスがこの屋敷まで来るのかぁ?」

「いや、ザンザスはウチのホテルで待ち合わせだよ。うん、そろそろいい時間だし出ようか。」

2人は再び車に乗り、キャっバローネの屋敷を後にした。



キャッバローネの経営するホテルは街の中心地にあり、駅が近い。
未だ時間が少し早いが、ザンザスは車で出かけるよりも地下鉄のほうが時間つぶしになると思いヴァリアーの屋敷を出た。

(そういえば歩きなんて久しぶりだ)
別段歩くのが嫌いなわけではないが、普段は副官のスクアーロがすぐに車を手配するため大抵車での移動になる。

少し前までは地下鉄のようなゴミゴミした場所なんて踏み入れる気なんて起きもしなかった。
近頃は割りと何にでも興味がわいてきて、たまには良いかとも思える。
『丸くなったなぁ!』
声の喧しい副官は度々嬉しそうにそう言うので、まぁ悪くはないとも思っている。


ホテルに着きフロントへ向かっていた時、後ろでざわめきが起こった。
何事かと振り返れば入り口の回転ドアを抜けてきたディーノと、その後ろには・・・・・

「ス・・・クアーロ・・・?」

輝く銀髪を結え、絹のドレスに身を包んだスクアーロが目に入った時、ザンザスは心臓が跳ねる音を聞いた気がした。
同時に隣に並ぶディーノへの殺意も芽生える。

「!」



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