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積雪が吸い込んだ足音を察知することは出来ず、ドン、という扉を蹴り開ける音で来客の存在を知る。そうして火蓋が切って落とされた。息を呑む。
「おるあー!!待たせたな炎上エリート!!テメーをボコしに帰ってきてやったぜ!!」

 モヤがかる灯台内部に踏み込む足音は吹雪の音にもかき消され、視界をクリアにするには人の目では精度が足りない。だが、扉を開けたそのときには必ずそこに居る筈なのだ。故に先手は取らねばならぬ。

 ハードワンは手にしていた球体を振り抜いた。一直線に飛んでいく球体がモヤを切りながら進み、間近の床で大きな音を立てて破裂する。飛んでいった球体の中に詰まっているのは言わばパチンコ球のような固くコロコロしたあいつ。モヤとコロコロですってんころしたらいい。けしてお色気が無かった仕返しではない。なんかの部品として持ってが資料もトンだからといって八つ当たりもしてないんだ。

 2階で待機する柱の陰。階段を上がってくればすぐに鉢合わすところにハードワンはいる。鎌を振るほど広くないので、手持ちはナイフと全長50cmほどの山刀だ。多勢に無勢、ならば立地を使うしか無い。ちなみにコロコロが床に散らばった以上は気が散ってしまうので、鷹(たか)は高みの見物を決めて天窓に捕まって待機である。今はただ控えて、2階に上がる者を迎え撃とう。








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