スレシカ短編夢『忘却の代償』-1 癒恵様9000HITリク、スレシカ夢の膝枕で甘。 連載夢とは関係ありません。 この話のみのトリップ主人公(一般人)だと思って下さい。トリップなので元はこちらの世界の住人です(ツッコミの都合上←)。 一応シカマルとは恋人設定です。 時期的には原作第二部開始直前あたり。 とある休日の昼下がり。 買い物してアパートに帰ったら、何故か居間で暗部副総隊長が居眠りしてました。 「……昼間っから堂々とサボりとは……」 あたしは呆れたような溜め息とともに、買い物袋をテーブルに置いた。 確かに曲がりなりにもお付き合いしている以上(曲がりなりって……自分で言ってて悲しくなってきた。どうせすでに老夫婦みたいだって言われてるよチクショウめ)、シカマルがあたしの部屋に来ることは珍しくはないけれど、今年は試験官を務めなきゃいけないっていう中忍試験ももうすぐ始まるらしいし、表の仕事も裏の仕事もすっごい忙しいんじゃなかったっけ? 甘栗甘でバイトしてるあたしは今日はお休みだけど、ここ一ヶ月休みなし状態の彼がこんなところで居眠りしてていいんだろうか。……今は長期任務で留守にしてるとはいえ、後でおっそろしー上司(某金髪碧眼の総隊長様)にお仕置きされても知らないよ。 自分の腕を枕にして横になっているシカマルにそうっと近づいてみる。 まあ、一般人のあたしがちょっと足音を消したくらいで、シカマルに気づかれないとは思わないんだけど、こういうのは気分よ気分。 「寝顔はいけーん……って、うーわ、超お疲れモード……」 そうして覗き込んだ寝顔には、正直ちょっと死相かと思うような疲労が浮かんでいた。これはサボりたくもなるわ。っていうか寝てて。頼むから寝てて。 シカマルは基本、ブチ切れたナルトとでもやり合わない限り殺しても死ぬよーなタマじゃないと思ってるけど、さすがにこれは死ぬかも。 今は総隊長が不在な分、すっごい忙しいんだろうけど……こういう時、忍でもないあたしには何も出来ない。 せめてもう少し頭が良かったらデスクワークの手伝いくらい出来たかもしれないけど、残念ながらあたしの成績なんて元の世界の学校ではどう頑張っても中の上だった。 だって興味ないことは覚えられない。そんなことに限りある脳味噌の容量使ってられない。シカマルの頭がスパコン並のスペックだとしたら、あたしの頭の限界なんてせいぜい初代ファミコンだ。8ビットCPUだ。 で、結局あたしにできることと言えば、せいぜいお茶汲みぐらいなのよね……。 かくなる上は、シカマルの好きなお茶っ葉で、好みの濃さ・絶妙な温度で淹れられるように、完璧なるお茶汲みをマスターするしか!(そのための甘栗甘でのバイトです) ――って何だあたしかなりこっぱずかしいくらいシカマルのこと好きみたいじゃないか! ……っ、好きだけどさ! あたしはとりあえず、床に寝っころがっているシカマルに何か掛けるものを持ってこようと辺りを見回した。 なんたって今は冬なんだし、いくらシカマルが忍で強くても、さすがにそのままじゃ寒いと思うのよね。ていうか見てて寒い。あたしが。 つまりあたしの精神衛生上の都合でなんかかぶりやがれ的な感じで、これは優しさかと言われたら断じて違うと主張しようと思う。うん、そんなむずがゆいこと言われたら反射的にぶっとばすよ。多分あたしの非力なパンチじゃグーでもろくに効かないだろうけど。 ちょうど良さそうなのはあたしの使ってる毛布しかなかったから、それをずるずると持ってきて、シカマルの身体にそっと掛けた。 よっぽど疲れているのか、起きる気配はない。もしかしたら狸寝入りかもしれないけど、それに気づけるほどの力量はあたしにはないし。 その疲れた寝顔を見ていて、あたしはふととあることを思いついた。 うん、お茶汲み以外にもできることがあったかも。 カノジョの膝枕って、やっぱ男的に癒しじゃない? まあ寝心地はどうだか知らないけど。 やだーあたしったら珍しくも乙女回路発動? 主に起きた時のシカマルの反応を見るのが目的なんだと自分に言い訳しつつ、あたしはシカマルの頭のあるあたりに座り、膝に彼の頭をのっけようとして――。 「って、熱ッ!?」 その頭の異様な熱に、思わずごとんと床に落っことしてしまった。 あー……シカマル超ごめん。 ていうかさ、こんだけ熱あったらあたしんちに転がってるより病院行きなよ! ☆ ☆ ☆ ユエが帰ってきたのは分かってたけど、あいつの気配に危険を感じることはないから、俺はそのままうとうとしていた。 何せもう覚えてる限りで一週間は寝てない。一睡もしてない。 表の仕事も中忍試験の試験官を任されたりして忙しいのは確かだが、もうすぐナルトが帰ってくるってのがこの多忙の一番の要因だった。 総隊長が数年里にいないってのは確かに痛手で、ナルトが帰ってくれば俺の仕事は確かに減るが、それを期に激動するだろう世界情勢を思うと胃が痛む。そのこれからのための布石を打っておく仕事が、一番重要で一番厄介だ。 マジめんどくせーけど、里の未来、ひいては俺の安泰な老後がかかってる以上、さすがにこれだけは手が抜けねー。そう思って不眠不休で仕事してたけど、もう無理。限界。かなりヤバい。 逃げ込むようにユエの部屋へ転がり込んだのは、自宅や仮眠室よりここの方が俺には落ち着く場所だからだ。気の張った状態ではどんなに眠くても寝られない俺だったが、ユエの家だけは別で何故か三秒で眠れる。ユエにはよく「のび太みたい」とか言われたけど、何のことだか俺には分からない。 何だそれは、幻術の一種か? あいつに聞いたら、ユエが元いた世界の専門用語だと言われた。よく分かんねー。 ともかく安寧を求めて俺はここへ来ていた訳だが、休みだと聞いていた当の本人は留守だったので、合鍵で勝手に上がって居間に寝転がっていたのだ。しばらくしてユエが帰ってきて何やらごそごそしていた。俺は半分覚醒していたものの半分は眠っていて、結局ユエの側だからって油断していたのかもしれない。 毛布を掛けられたのが分かってちょっとグッときちまったんだけど、頭をそっと持ち上げられた後、思いっきり床に落とされて本気で泣きそうになった。 絶対脳細胞大量に死滅したぞ今……。 「……いてえ」 「うわっごめんシカマルほんとごめん!!」 ぶつけた後頭部をさすりながら目を開くと、さすがにものすごい勢いで謝られた。 そんで今度こそと頭を落とされた先は、何だか少し弾力があって柔らかい。 ……まさかこれはアレか。ユエの太腿か。膝枕か。 えっマジかよこれ夢じゃね? とか思っちまうのは、普段あんまりユエはそういうことをしないからだろうか。 いや嬉しいけど。すげー嬉しいけど。あー鍛えられてねーユエのフトモモやわらけー。天国。 何たって、同期の連中からは老夫婦扱いされる俺たちだ。付き合ってるとはいえ、周りから見れば不思議なことこの上ないらしい。まあユエがツンデレなせいもあると思うけど、多分に。 チョウジあたりは、「あのめんどくさがりのシカマルが、付き合ってるってこと自体に意義があるんだよ」と握り拳つきで主張してくれていた。 ……いや、それフォローになってねーからチョウジ。 【夢小説トップ】 【長編本編目次】 【サイトトップ】 |