Never give up !上





期末テストが近づくある日、弓道部部室であたしはひーくんと試験勉強をしていた





「なあ、ずっと疑問に思ってたんだが、お前はどうやって小出高校にはいれたんだ?」
「え?ひーくん、あたしが気になって夜も眠れないの?きぃやぁぁぁ!!」


ガツンッ!


「あいたっ。拳骨痛いから。」
「一言もそんな事言ってないだろーが!」
「あたしが小出高校に入れた理由?」
「ああ。クルクルパーのお前がよく入れたと思ってな。」
「まあ、話せば長くなるんだけどね。」
「じゃあいいや。めんどくさいから。」
「やー、聞いてよそこは。あれは中三の秋だった.....」
「唐突だな、おい。」




Never give up



「あたし小出高校に行くから!」



小出高校の文化祭に出掛けて帰ってくるやいなや、自信満々に言い放つ、なの




「小出高校を受験したいの?なのが?」
「なの姫、俺の出身校に行きたいのか〜。大好きな俺と同じがいいんだね♪」
「なにぃー!!なのは俺の出身校、私立虹ヶ丘学園に行くんだろ?」
「あたしは小出高校の文芸部に入りたいの。だから小出高校に行く!」



両手をグーにして力説するなのに僕はあえて爆弾を落とした



「普段、赤点ばっかり取ってるなのがどうやって小出高校に行くの?」
「え?今から頑張ればなんとか行けるかなーって♪」
「無理だよ。天地がひっくり返らないとなのは行けないレベルだよ。」
「だからそこをなんとかするのが悠お兄ちゃんじゃん!日本一頭がいい大学に行ってる、悠お兄ちゃんの腕のみせどころだよ。」
「また無茶苦茶な事を言って。他力本願じゃ受からないよ。」
「一生のお願い、悠お兄ちゃん。勉強一生懸命頑張るから。あたし、小出高校に行くためならなんでもする!」



なのに泣きつかれ、僕は勉強を教える覚悟を決めていた

「虹ヶ丘なら私立だし俺も入れたんだし、なのも入れるだろ。文芸部も確かあったはずだ。な?蒼お兄ちゃんと同じ高校にしよ。」
「やだ。小出高校がいいの、絶対に。」
「そんなハッキリと...。」
「虹ヶ丘は一般で入るなら相当頭が良くないと入れませんよ。」
「そーだよ。蒼ちゃんは一芸入試で入れただけじゃん。学力関係ないじゃんか。生まれつきバカだしね。」
「うるさーい!!一芸も立派な学力だ!世界一旨いケーキを作れる俺は凄いんだ!」
「あー、はいはい。」
「お前は少しは兄を敬えー!」



下らないケンカを始めた兄二人をほっとく事にして距離をとると、なのが再び僕に近づき頭を下げて来た



「悠お兄ちゃん、いや、悠先生!あたしをどうか小出高校に入れて下さい!」
「本気?」
「本気の本気!全力本気!」
「容赦しないけど、いいよね?」
「はい!あたし頑張ります!宜しくお願いします!」



なのの為に僕も全力で頑張ると誓うと同時に、なのと居れる時間が増える事に悪い気はしなかった



「あー!悠はまた、なのを独り占めしやがって!」
「悠は本当にチャッカリさんだよね〜。」
「蒼お兄ちゃんも奏お兄ちゃんも悠先生に失礼な事言わないでっ!」
「なのー!蒼お兄ちゃんも美味しいケーキ作るから。」
「奏も勉強教えるし、疲れに効くマッサージしてあげるから〜。」
「「だから.....、先生って呼んでー。」」
「えー?」
「はい、蒼先生も奏先生もなのが勉強する環境に協力して下さいね。まずは静かにしてて下さい。出来れば一生。」
「「悠!お前が先生って呼ぶなー!!」」




かくしてなのの小出高校合格に向けて吉野家が動き始めた







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