Never give up ! 下







小出高校合格に向けて次の日から、悠のスパルタ勉強会が始まった





「あああ゛ー!!頭がパンクしそう。」
「まだ勉強始めて一時間だよ。」
「こんなに真面目に机に向かったの初めてかも。あたし凄い!」
「なの、よく今までそれで生きてこれたよね。逆に尊敬するよ。」
「悠先生に褒められたー。」
「褒めてないからね、なの。」


でも今まで勉強してこなかった割にはのみ込みが早いかもしれない



「じゃあ次は...」
「なのちゅわーんっ♪」


僕の言葉を遮りドアが盛大に開いた



「なのちゃん聞いたわよ!私と同じ小出高校に行くんですって!?もうお姉ちゃん嬉しくっていてもたってもいられなくて来ちゃったわ。あーん、可愛い、可愛い!」
「ぐえっ。お、お姉ちゃん苦しい。」
「なのを離して下さい、翠姉さん。」
「いやよ。なのちゃん可愛いーんだもん。」
「勉強の邪魔しないで下さい。」


僕はなのを後ろから力任せに抱きついている翠姉さんを引き剥がした



「苦しかった...。」
「翠姉さん勉強の邪魔をしないで下さい。なのが小出高校に行けなくなりますよ?」
「え〜?それは困るわね〜。で、なのちゃんは小出高校に受かりそうかしら?」
「今の時点で受かったら奇跡です。」
「あら〜。でもなのちゃん運はずば抜けていい子だから、大丈夫じゃないかしら。」
「楽観的ですね、翠姉さんは。」


どうしてこの家の姉や兄達はこうも楽観的なんだか



「大丈夫。なのちゃんは絶対に小出高校に受かるわ。」
「本当に?あたし受かる?」
「受かるわ!お姉ちゃんが保証する。だからなのちゃんは自分を信じて勉強頑張りなさい。」
「うん。あたし頑張るね。ありがとう、翠お姉ちゃん。」


翠姉さんの一言で、なのはまたやる気を取り戻した
翠姉さんの絶対的自信はどこからくるのだろうか
でも不思議と大丈夫だと思ってしまうから謎だ



「じゃあお姉ちゃんはなのちゃんの顔見れたし、帰るわね。」


能天気に「バイバーイ。」と手を振って帰っていった
それからなのは時間が許す限り勉強を続けていた
毎日、毎日、コツコツと...



「なの、僕が受験用に作った五教科のテスト問題解いてみて?」
「はい!悠先生。」
「本番だと思ってやるんだよ。始め。」



5教科の結果は小出に受かるにはギリギリセーフな点数だったが、試験日までまだ後少しある
まだ間に合うはずだ
赤点ばかりの頃とは別人な位の成長ぶりだ



そして高校受験当日...



「体調大丈夫かしら?」
「ママ、大丈夫だよ。」
「受験票ちゃんと持ったかな?」
「パパ、ちゃんと持ったよ。」
「蒼お兄ちゃんのハグいるか?」
「いらない。」
「奏お兄ちゃんのチューいる?」
「いらない。」
「つぐみちゃん、なのの事宜しくね。」
「はい、悠さん。」
「なのもつぐみちゃんも頑張って。」
「うん。」「はい。」
「なのー!頑張れー!」
「なの姫ファイト〜!」



家族みんなに見送られ、あたしは小出高校に受かる為に全力で試験に挑んだ
結果、合格
あたしの努力は報われた



「で、無事に小出高校に入学出来たってわけ。あたしスゴいでしょ?あたし、やれば出来る子なの。」
「ふーん。」
「あれ?ひーくんなんか不機嫌?」
「いつもこんなんだろ。」
「えー?そうかなぁ?」



話を聞いて、正直俺は気分が良くなかった
なぜだかは分からないが...




「仕方がないからこれからずっとテストの時は俺が勉強をみてやる。」
「え?ひーくんが!?」
「ああ。部長、副部長にも言われてるしな。」
「やったあ。超嬉しいー♪」
「喜ぶのはこの問題を解いてからだ。」
「数学嫌い。」
「嫌いでもやるんだ。やれば出来る子なんだろ?分からないなら教えてやるから。」
「ひーくん超優しい。超カッコいい。超大好き。」


真っ赤になりながらあたしにした拳骨は力が入ってはなく
「ちょっと飲み物買ってくる。」と、そそくさと部室を出ていったひーくんの背中を見つめ、難解な数学の問題を解く為に気合いを入れ直した





fin







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