01

タッタッタッ…

今日も今日とてこの森の外れ、小さな祠と山積みのきのみがあるそこに、
一匹のポニータが息を切らしてやってきた。


【っはぁ、はぁ……
 よし、】

息を整えたポニータは祠の前に立った。
そして、彼は願い事をする。

【どうか、俺をニンゲンにしてください!】

ブンッと頭を下げたポニータは、諦めと期待とを半分ずつ交えた顔をしている。


しばらくの沈黙のあと、顔をあげ小さく溜息をついた。

【今日で一年たつのか…。場所変えた方がいいのか?】

首を捻る彼の諦念は、どうやら"人間になることはできない"という訳でもなく、"場所が悪いのかもしれない"という理由かららしい。

誰が考えたって、無理だろお前ネジとんでんじゃねえのとツッコみたくなるような願いを、
ポニータが一片も疑うことなくお願いしているのにもちゃんと理由はあった。

ポニータは以前に、人間になったポケモンにあっているのであった。それも複数。
メタモンでもゾロアークでもない彼らは、確かに彼の目から見れば人間になれるポケモンそのものだった。


【舞とかがいるのか?】

小さく呟いた言葉を皮切りに、ポニータは謎の踊りをし始めた。
【カンバッバッ、ケチャ、バノーニッケチャ、
 カンバッバッ、アニ、バノーニッソレッ】

意味不明な言葉までつけている次第である。
謎の呪文とともにキレッキレなダンスを真剣に踊っている彼を見て、込み上げる笑いをこらえ切れないものがいた。



【……っちょ、ぶふぁっ!!なんなのもう我慢できない!即興ならセンスありすぎでしょ、もちろん笑いの】

【カンバッ―誰かいるのか!?】

踊りを止めたポニータは期待でいっぱいになった瞳で祠を見つめた。

【あー、ども、祠の主でーす】
【かっ、神様!!】

少年のようなソプラノの声が祠の後ろから聞こえた。
横から見ると桃色の身体が丸見えなのだが、ポニータは祠の真正面に居たため見えないようだ。
ポニータは本気で神だと信じているらしい。


【俺の願い、聞いてくれるのか!?】

【うん、いいよ
 天乃ヒカルのところに行ってごらん。
 マサラにいるよ】

桃色の神様(仮)の言葉を聞いて、ポニータはある人物とその仲間を思い浮かべた。

【ヒカルってまさか…、そうか、ありがとう神様!!】

一年越しの願いが叶う道筋が見えたポニータは神様(仮)に満面の笑顔でお礼を言った。



【こうはしちゃいられない、マサラに行かなきゃ】


ポニータは幼い頃から鍛えた自慢の脚力でマサラに向けて駆け出した




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