――ピンポーン

火神の家のチャイムが鳴った。
火神は腰掛けていたソファーから立ち上がり、玄関のドアを開けた。

「よう、黒子・・・と青峰?!」
「火神君、ごめんなさい。さっき、青峰君とばったり会ってしまって、火神君の家にお泊まりするって言ったら、一緒に行くって言ってついてきてしまったんです・・・すみません」
「そんなわけで、よろしく。あと火神、俺着替え持ってきてねぇから、Tシャツとかなんか貸してくれ」
「そんなの許可するわけねぇだろ。青峰、お前は帰れ」
「テツは俺のもんなんだよ、お前なんかに渡すわけねぇし」
「黒子は今、俺のものなんだし。俺は黒子と二人で過ごすんだよ、邪魔者は消えろ」
「あのー、すみませんが僕は誰のものでもないんですが」
「「うるせぇ、黒子(テツ)は首突っ込むな」」
「じゃ、じゃあ、とりあえず火神君のお家の中に入って相談しましょうよ」
「しょうがねぇな、ここで喧嘩しててもお隣にも迷惑だからな。青峰も入れ」

「広っ、火神、お前こんなとこ一人で住んでんのか?」
「ああ、元々は親父と住む予定だったんだけどな、都合が悪くなって、今は一緒に住んでない」
「青峰君、火神君はすごく料理上手なんですよ」
「マジか、俺、腹減ったから肉食いてぇ」
「青峰、勝手にくつろぐな。それに、お前の分は作らねぇし。黒子、何食いてぇ
?」
「僕は野菜ジュースがいいです」
「黒子、それは飲み物だ。飯じゃねぇ」
「そうですか?じゃあ・・・「牛丼食いてぇ!」
「おい、青峰、お前の希望なんか聞いてねぇ」
「テツが牛丼が食いてぇってオーラ発してるんだよ」
「黒子、マジか」
「僕、そんなオーラ出したことないんですけど。まあ、牛丼でもいいですよ」
「ほら、火神!俺の方が、テツのこと分かってるぜ」
「うぜぇんだよ、青峰!今の黒子のことは俺の方がよく知ってるぜ」
「なんだよ、言ってみろよ」
「言わねぇし、言ったら俺だけの黒子じゃなくなるだろ」
「そんなこと言って、実はテツのこと詳しく知らねぇだけなんじゃねぇの?」
「じゃあ、お前から言ってみろよ、青峰」
「あのー、お二人とも、とりあえずご飯にしません?僕、おなかがすきました」
「黒子、あと10分待ってくれ。肉に味がしみ込んだら出来上がりだ」
「あー、腹へったー。火神まだかー」
「青峰、お前の分はねぇし」
「青峰君、大丈夫ですよ。火神君は大量に食べるので、1人前ぐらい余るはずです」

青峰のフォローをしたつもりだったが、青峰はそれを聞かずに火神の部屋を物色し始めた。棚の下や、テレビの裏など、何かを探しているようだった。

「・・・火神、この部屋、エロ本ねぇのか?」
「おい、青峰。なに詮索してんだよ」
「なんだぁ?その焦りっぷりは?おい、どこに隠してるんだよ、チェックしてやるから言ってみろ」
「お前なんかにチェックされる必要もねぇし、エロ本なんか置いてねぇよ」
「お前、もしかして童貞か?」
「んなわけねぇだろ、黒子に聞いてみろ」
「火神君、なんで僕にふるんですか」
「お前ら、もしかしてヤってんのか?」
「ヤってるつったら、なんだ?青峰、妬くのか?」
「妬くわけねぇだろ。テツのバックバージン取ったの、俺だし」
「でも、黒子を開発したのは俺だぜ」
「じゃあ、どっちが先にテツをイかせることが出来るか勝負しようぜ」
「望むところだ!って、黒子は?」
「テツ、もしかしてこの展開を予想してばっくれたな」

青峰と火神が部屋を探しまわた。トイレやお風呂まで覗いたがどこにも黒子の姿を発見することが出来なかった。

「テツの靴があるってことは家ん中なんだよな」
「俺の家、隠れる場所少ねぇんだけどな」
「あのー、僕ここです」
「「?!」」

黒子は一足早く、牛丼を食べていた。

「ミスディレ使うなよ、テツ」
「おなかが減っていたので、つい」
「つい、でミスディレされる方にもなってみろよ。心配したんだぞ」
「二人とも、なんだか白熱した状態だったので、」
「まあ、な」
「そうだけど、な」

火神と青峰は顔を見合わせて、一時休戦とした。

「火神、俺、汁だくで」
「お前は自分で寄え、俺はお前の分までやりたくねぇ」
「はー、だりぃ」
「だるいなら、食うな!」
「青峰君、火神君の料理はおいしいですよ。早く食べないとなくなちゃいますよ」
「テツが言うなら、食うかなー」
「お前どんだけ、黒子に入れ込んでるんだよ」
「どんだけって、俺のピーがテツのピーに入るぐらい?」
「今、ピー音なってたぜ。エロ峰が、」
「お前だって、突っ込んでるんだろ?」
テツのアソコに。

青峰はニヒルに笑いながら言うと、もの静かに食べていた黒子が冷たいオーラを出して言った。

「二人とも、食事中は静かに食べましょうね、」
「「は、はい・・・」」

青峰と火神はブルリと震え上がりながら、黒子の言葉に従った。
怒っているわけではないのだが、冷たいオーラがひしひしと感じる。

(おい、青峰。お前のせいだぞ)
(ちげーだろ、火神のせいだろ)
(お前、もしかして黒子に尻しかれてたのか)
(俺じゃなくて、お前じゃねぇのかよ)
(じゃあ、あのオーラのない黒子が冷てぇオーラ出してるんだよ)
(俺だって知りてぇよ)

「お二人さん、全部丸聞こえですからね」
「「は、はいっ!」」

黒子は何かとてつもなく蔑んだ目をして、青峰と火神を見た。

(ヤベーよ、火神)
(なんだよ、青峰)
(あの状態のテツはマジバのシェイクがないとヤらせてくれねーんだよ)
(それなら、ちゃんと準備してあるから大丈夫だ)
(案外、用意周到だな、お前)
(黒子を泊まらせるためにも必要なんだよ)

「火神君、ごちそうさまでした」
「おうよ。黒子、マジバのシェイク買い置きしてあるから、冷凍庫覗いてみ」
「本当ですか?!」

一瞬にして、黒子の目がきらきらと光った。これは常に一緒にいないと分からないような小さな反応だったが、長いこと黒子の相手をしてきた火神と青峰には輝いて見えた。
黒子がマジバのバニラシェイクを飲み始めたとき、火神と青峰は牛丼をかき込んだ。
バニラシェイクが飲み終わったら、勝負の始まりであるから。

「黒子、風呂いつ入る?」
「お風呂ですか、えっとー、6時くらいですかね」
「じゃあ、俺、先にシャワー浴びるわ」
「青峰は一番最後にしろよ」
「俺は一番風呂が好きなんだよ」
「しょうがねぇな、じゃあ、俺は青峰の後に入るか」

青峰、火神、黒子の順に風呂に入ることになった。
青峰と火神は思った。
(黒子の後なんか、オナニーしまくりで風呂から出られねぇ)

「思ったんですけど、」
「なんだ?黒子」
「火神君と青峰君って、意外と仲がいいんですね」
「そんなのありえねぇし」
「マジ、ありえねぇ」
「ほら、同じこと言うじゃないですか」
「俺が火神と仲がいいなら、俺とテツは親友になるな」
「黒子の親友は俺に決まってるだろが、アホ峰」
「んだと、やんのか。このやろー」
「やらねぇよ。お前相手するぐらいだったら、黒子といちゃつきたいし」
「か、火神君、いちゃつくってなんですか?!」
「いつもヤってることだろ。そういや、青峰は堀北マキちゃんがいるだろ」
「マキちゃんは天使だから、カウントしないんだよ、ばーか」
「なら、早く風呂入ってこいよ、先ヤってるぞ」
「テツが風呂入るまではヤらねぇくせに」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。何をやるんですか、二人は」
「何ってナニだろ。なぁ、火神」
「察しろよ、なあ」
「察すると、僕はなにかめちゃくちゃのとろっとろにされそうな気がするのですが、間違ってますよね?」
「黒子、間違ってないから、心の準備してろ」
「テツの体は俺らがめちゃくちゃのとろっとろにしてやるからよ」

俺、風呂入ってくる、と言って脱衣所に消えた青峰は、脱衣所から「火神、着替え用意してくれー」と叫んで、バタンと風呂に入った。
火神は「しょうがねぇやつ、」といいながらも、Tシャツとハーフパンツを出すと脱衣所に投げ入れた。

「火神君、僕のこと好きですよね?」
「ああ、好きだけど、なんだ?」
「痛いことはしないでくださいよ」

ちょっと不安そうな顔をしている黒子に火神は近づいて抱きしめた。
そして、うるうるとした目に優しくキスをすると「心配すんな」と言った。

「おい、バカ神!俺のテツに手だしてんじゃねぇーよ」
「はえーな、風呂出てくるの」
「お前が手出しそうな気がしたから、出てきたんだよ」
「青峰君、大丈夫ですよ、何もされてません」
「何もされてないのに、抱きしめられているってのは何だよ」
「それは火神君の愛情です」
「火神、どけ。その役は俺がやる。風呂入ってこい」
「はいはい、どけばいいんだろどけば」

火神は黒子の額にちゅっとキスをすると、自分の着替えを持って風呂に向かった。

「テツ、あいつに何もされてないだろうな」
「火神君は何もしてないですよ」
「・・・そうか、」
「あの、青峰君」
「なんだよ」
「青峰君は僕のこと好きですよね」
「ったりめーだ、好きに決まってるだろ」
「嫌なことさせないでくださいね」

心細そうに言う黒子を青峰は抱きしめた。そして、耳元で優しく「心配すんな」と言うと、黒子は「火神君もおんなじことを言ってました」と笑った。

「おい、アホ峰!今すぐ黒子から離れろ。じゃねぇと、家からつまみ出すぞ」
「あいつもはえーじゃんか、風呂出てくるの」
「大丈夫ですよ、火神君。僕は何もされてません」
「何もされてないのに、抱きしめられてんのは何だよ?!」
「それは青峰君の愛情です」

先ほどと同じことを繰り返すと、「今度は僕がお風呂に入ってきますね」と黒子は自分の着替えのTシャツとハーフパンツを持って脱衣所に行った。






好きならもっと愛してヤって 前編





20130326
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