「……って、ええ!?」
根性入れてやるからとか言って、すごいカオで睨みながらしたっぱの1人がこっちに来た…!
「……やめておくんだな」
「あん?」
「オレに勝てないくせに……、ポケモンを無駄にキズつけるな」
一触即発の雰囲気を出したあと、グラジオはあたしに向き直っていいポケモンだ、そう呟いた。したっぱが何やら言ってたけど、スカル団がぬしポケモンを奪おうとしたのを止めたの?……この人が?
「グラジオさんよ。おまえよ、ボスに気に入られてるけどよお、雇われ用心棒なの!正式なスカル団じゃないの。わかってるよなあ、なあ、なあ?」
「…………あの!!」
仲間なんじゃ、ないの……?したっぱのその言葉が気になって声をかけようと思った、でも、スカル団の挑発にも、あたしの呼びかけにも応じることなく、彼はいなくなっちゃった。もしかしたらもう、この時からすでに、あたしはグラジオに恋をしていたのかもしれない……。
「かなこ、ありがとー、おつかれだったねー」
「う、ううん?ねえ、それよりハウ……」
「せせらぎの丘の試練に挑むなら、ポケモンを鍛えないとー!」
げんきのかけらをくれたハウは、変わらず颯爽と去っていったけど、何だろう……、オハナタウンの時とは違って、空元気な気がして……。それもこれもあの、グラジオって人と戦ったから、だよね……?
「グラジオ……何か、おっかないやつロト」
「……そうかな?」
「ケテ!かなこ、さすがの度胸ロト!」
あはは……ロトムののんきなおしゃべりに癒されて、次の試練も頑張れる気がした。