01
*はじまり*


「…か、かわいい……!!」

11歳になった彼女たちを待ち受けていたのは、夢に溢れたポケモンの世界だった。


「おはよう、かなこ」

マサラタウンという小さな街に住む、かなこという少女。向かいの家のレッドと、ポケモン博士として名高いオーキドの孫、グリーンとは幼なじみで、この日誕生日を迎えたレッドと共に、博士からポケモンをもらえる約束をしていた。3匹の中からそれぞれパートナーを選び、大きな目標はあるものの細かな制約は決めず、思い思いに旅をスタートしていった。

「ここがトキワシティ…!」

かなこのパートナーは、フシギダネ。大きな目をくりくりさせてこちらを見る様子は、まだあまり懐いていないとはいえかわいい。軽く頭を撫でてやると嬉しそうに笑顔を返してくれる。一人で旅するとはいえ、こうしてコミュニケーションを取れる存在がいるのはありがたい。

「あなたのポケモンを休ませてあげますか?」
「お願いします!」

トキワシティには初めて見る施設ばかりで、ウキウキした気持ちで街を回っていった。ポケモンの体力を回復するためのポケモンセンターでは、ポケモンはもちろん、人間が休めるスペースも設けられている。

「部屋をお取りしますか?」
「あ、はい!」

先ほどすれ違ったレッドは、22番道路の方へ向かっているようだった。マップによるとこの先には、ポケモンリーグへと繋がるチャンピオンロードがあるだけだが、何をしにいくのだろうか。そっと後をつけた。

「……それよりさあ!おまえのポケモン、少しは強くなったかよ?」

ちょうどレッドとグリーンが勝負を始めるところだった。レッドはかなこにとっては兄のような存在で、口数こそ少ないもののしっかりした少年という印象。一方のグリーンはどことなくチャラチャラしていて、活発。どこか人を見下した感じを受けるが、純粋なところもあるのだと分析する。

「かなこ、おまえも混ざるか?」
「い、いいよ!二人の勝負、見てたいし…」

まだ旅を始めて間もないせいか、自分が女だからなのか。ポケモンが傷つく姿を少しだけ、辛いと思ってしまう。この先のトキワの森は道がくねくねしていて迷いやすいと聞くから、キズぐすりは多めに買っておいた。

「やった…!」
「あーッ!こいつ、なめたマネを!」

勝負はレッドの勝利。研究所でグリーンと戦って負けた自分より、的確に指示を出せているようにも見えた。そんなかなこの様子が気になったのかレッドは、

「かなこ、今日はポケモンセンターに泊まる?」
「あ、うん。もう、部屋は取ったんだ」
「そう。だったら、寝るまでかなこの部屋で話しててもいい?」

旅を出る前かのように、お泊まりをする二人。少しだけ、これから待ち受ける事への不安が消えた気がした。


bkm
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