「…行ってきまーす!」
私はかなこ。年齢は…もう、大人。こんな歳になって何で、旅に出たかというと。
「…引っ越し!?え、何で…!?」
私のパパは、トウカシティといって、ここ…アサギシティからは離れた、ホウエン地方でジムリーダーとして働いている。ジムリーダーに就任して、初めの年は毎月家に顔を出していたけど、そのうち戻ってくるのが大変でね…と、同じ地方にあるミシロタウンに家を建てたの。隣はオダマキ博士といって、あっちの地方では有名な博士の家で、すごくいいところ…らしい。ママも先に行ってるわね、と、まだ19の娘を残して新しい家に行っちゃった。そして明日は私の誕生日。おばあちゃんに見送られながら、荷物と私を乗せたトラックは、ミシロタウンに向けて出発したんだ…。
“お誕生日おめでとう かなこ”
真夜中。0時を回った頃。パパとママからメールが届いた。ありがとう、そう返事をしてもう1回、深い眠りに就いた。
「ん…」
ガゴ、という音が鳴って、トラックが停止する。開けてくれた扉から外に出ると。
「わあ…!」
すっきりと晴れた、青空。そして、聞いていた通り…、とても素敵なところ!
「かなこ、お疲れさま!」
トラックの音に気づいたみたい、ママが家から出てきてくれた。