19
「…っ、待って!!」

まるで重なってしまうかのように密着した身体。気づけば目の前にダイゴさんの顔があって…、どうしようもないドキドキ感に襲われる。

「…続き、したくない…?」
「…それは……」

怖い…きゅっと彼の腕を掴むと、わかっているよ、と離れていく。

「…かなこちゃん、きみはなかなかひどい子だね」
「え…?」

“いつまでもお預け喰らわされたら、いなくなっちまうかもな?”

ふとカゲツさんのあの言葉がよぎった。そしてまたそれを察してるかのように…ダイゴさんは言う。

「安心してよ、いなくなったりしないから…」

…けど、とまたずるい笑顔を向けてダイゴさんが言った。

「煽るような真似はやめてね……?」

…っ!!怖い…でも…ダイゴさんが望むなら……。自分の中にもだんだん…そんな気持ちが芽生えてきた時、事件は起こってしまうのだった。


今日は隣のエンジュシティにて、スズの塔と焼けた塔の見学ツアー。スズの塔はまたしてもギシギシ言うから、ダイゴさんにしがみつきっぱなしになってしまって、ご迷惑おかけしちゃった。

「ふふ…やはり怖い?」

笑顔だけど、どことなく不思議な空気が漂ってたのは…今思えば、気のせいじゃなかったみたい。スズの塔を見学し終えると、ちょっと電話だ…ってダイゴさん。

「少し、あっちを見てますね」

焼けた塔の前まで来てみる。本当に上部が焼けてしまっていて、あえて直さない、そんな感じがした。


bkm
prev next
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -