「…え!?」
「…どうしたんだい?こんなところで」
「…それはこっちのセリフです!!」
…実に半月ぶりの再会。こんな事も…あるのかな。
ここはカロス地方といって、私がいたところからは遠く離れていて、飛行機と電車を乗り継いで、やっとの事でここまでたどり着いた。それに…。隕石が衝突するかもしれない、という緊急事態を無事回避し、ホウエン地方に平和が戻ってから、姿を消したはずのあの人…なぜ目の前に?
「フフフ…ボクがなぜここにいるのかって顔をしているね?かなこちゃん」
そう、いつもフラフラしてる事で有名なこの人…ホウエンリーグチャンピオンのダイゴさん。25歳とかいって御曹司のくせに?若いし、妙にイケメンだし、石が好きだからという理由でこんな世界の外れの方まで来ちゃってる。
「…リーグはどうしたんですか?カゲツさんに怒られますよ!」
どうせここに来た理由も、メガシンカに関する話を聞きに来たからだと思うし…とは言えなかったけど。
「…ありがとう。ボクの事心配してくれているんだよね?でも安心して、すぐに戻るから」
「…あの!」
すたすたと行ってしまうダイゴさんの背中に、声をかけてしまった。何か用があるワケでもないし、ダイゴさんと同じ景色を見たい…のとも違うけど。
「一人で行くの、怖い…?」
「そういうワケじゃ…」
「…でも不安そうだ」
「ダ、ダイゴさんの邪魔をするワケには…」
そう言うと、優しい笑みを浮かべてくれる。きっと私を安心させるため。ダイゴさんは…そう、思わせぶりが得意な人だから。
「…よし!かなこちゃん、しばらくボクにつき合ってくれないかな?」
「…へ?」
何で急にそうなるの!?全くこの人の行動と思考は理解不能!!鋼ポケモンばっか溺愛してるし、話といえば石の事ばかりだし!…ってよく考えたら、ダイゴさんの事、詳しく知らないな___なんて。
「…かなこちゃん?」
「え…?」
「ボクの話聞いてた…?行こう、一緒に」
「は、い…って、え!?」
ワケがわからないまま連れ去られた。私がリーグ制覇したら突然いなくなるし、すぐ再会するハメになるし(それは仕方ない理由だったけど)、特別に優しくされたワケでもないのに気になっちゃってるし…。だからこの旅で、少しでも、ダイゴさんの事を知れたらいい、そう…思ったんだ。