「ほら、集まれよ、オレさまの家に。かなこの防衛成功祝いだ!」
謎な集合がかかった。メンバーはネズさんだけじゃなくてダンデさん、ホップ、ビートくんも入れた6人で、なんであたしは女一人?別にいいけど…、ちょっとだけ寂しいかも。
「うおっ!?」
「な……!」
「す、すごーい!!」
キバナさんの家はとにかく広かった。はじめてお邪魔した三人は口をあんぐりと開けて驚いていたのに対して、まるでマイホームかのようにくつろぐ大人組。たぶんこれ、ちょっと来たことあるレベルじゃないでしょ。わりと高い頻度で遊んでるよね!?
「そういえばおまえに借りたDVD、返しますよ」
「や、オマエさ。今返すなよな?」
「ん?まさかいかがわしい内容なのか?弟の前ではやめてくれ」
……ダンデさん?心配するところはそこなの?女のあたしは?もう、いろんなことが普通じゃなくて笑っちゃう。でもネズさん、そういうDVD見るってことは、相手がいないのかな…なんて、都合のいいことばっかり。
「今、面白い企画を考えているから楽しみにしていてくれ!近いうちに発表できるはずだぜ!」
夕飯の時間が始まる。こないだおいしんボブに行った時も思ったけど、みんなよく食べるしよく飲むね。ホップとビートくんも負けてないし、一人だけ取り残されたような気分。
「ほら、かなこ。オマエにはアイスだ」
「へっ?ありがとうございます!」
うん、こゆとこ。キバナさんが女子にモテるのは。周りを見ても自分のことか話すことに必死で全然気づいてないもんね。つき合うならこんなスマートな人がいいんだろうけど、どしてだろうね?おせっかいなネズさんを逆に放っておけなくなったのかも。それとも…あのデモのせい?あんな真っすぐな歌詞を書く人だから、きっと心は純粋なんだろうなって。
「かなこ、来週あたりはどうだ?予定空いてるか?」
「あ、うん、確認するね」
「おい、先にシャワー浴びてこいよ…な?」
へ?シャワー?ホップとヨロイ島のことについて話してたらキバナさんに勧められたけど。ネズさんは本を読みながらグラスをちびちびと、ダンデさんは陽気になってDVDに釘付け、ビートくんはというと…無理やり飲まされたの?寝ちゃってる。…なんか男の人って自由。さすがにここまでワイルドじゃないでしょ、あたしだって。
「〜♪」
防衛成功のお祝いったって集まってしまえばお祭りになっちゃうのはわかってたけど。でも、いろんな気持ちから解放されるという意味では、来てよかったのかも。時々だけどネズさんと目が合っちゃったし…。こんな些細なことでときめいちゃうなんてもう、恋する前には戻れない。でもいつかは失恋しちゃうんだ…、だから今だけ。ダンデさんにキバナさん、お願いだから、本人には言わないで内緒にしてて。