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「え……」

チャンピオンロードへとつながるゲートに足を運べば、現在リーグは改修工事中だという。だが、気になることがあった。ここはシロガネ山という、ハナダの洞窟のような無人の山に繋がっているだけではなく、ジョウト地方への入口にもなっているらしい。リニアが開通すればすぐにでも、行ってみたい気持ちが膨らんだ。

「わあ…!」

一方のレッドはワタルと共に滝を越え、一足先にジョウト地方に足を踏み入れていた。カントーも十分田舎だと思ったが、ジョウト地方は静かであり、落ち着いた雰囲気が漂っている。

「せっかく来たんだ、観光でもしていけよ。必要ならおれもつき合うから」
「い、いや!そこまでしてもらうわけには…」
「はは、そうだよな。だったら、おれの修行につき合ってくれないか?四天王はきみたちに負けてイチから出直し…新たに四天王を目指したいやつと、既存のメンバーで、誰が務めるか決めることにしたのさ」

ワタルとは実はストイックな男らしい。わざわざ鍛え直さなくても、お世辞抜きで十分強いのに。だが、ドラゴンタイプについて学ぶのも悪くないかと思い直すと、彼の修行に同行することにした。

「カイリュー、ドラゴンダイブ!」

ポケモンとは不思議な生き物だ。今覚えている技以外にも、存在するとされている技を特訓すれば、習得できる可能性を秘めているのだから。それは人間にも言えることか…、なんて思ったりもするが。

「へえ…ぼくのリザードンは、他にどんな技を覚えられるんだろう」
「リザードンはほのおタイプだが、ドラゴンタイプの技も教えられる。ちなみにおれもヒトカゲから育てたリザードンを持っているよ」

四天王という地位に固執していたのかと勝手に誤解していたが、ただ強さを追い求めているだけの真面目な男。それにひどく興味を持つと、しばらくはワタルの元でお世話になることにした。


bkm
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