『泣かない』『泣けない』
「…君って泣かないよね」
よく晴れた日。
最近、気温も下がって冬に入るこの時期には珍しく今日は暖かい日になった。
並盛中に遊びに来た骸は応接室に行き、暖房がついて閉めきってある部屋の窓を空けた。その時骸が応接室に来る前からいた雲雀が若干顔をしかめたが骸はそれを無視をする。
窓から風が吹き込んできてそれが意外にも冷たく少し震える。渇いた風にもうすぐ冬が来ることを感じた骸は少し目を細めた。
そのまま骸は外を見て、雲雀は風紀委員の仕事をしている中雲雀が先ほどの言葉を呟いた。
「いきなりなんですか?」
「別に、ただ君の泣き顔を見たいと思っただけだよ」
「……悪趣味ですね」
さっきまでの風流な雰囲気が一気に壊れ骸はため息を吐くと目線を窓の外から雲雀に移す。
雲雀は未だに風紀委員の仕事をしていた。
「喧嘩をするときとか戦ってるときも思うんだけど、いくら殴ったり蹴ったりしても君って全然泣かないよね。もしかしてドM?」
「ありえないことですね、僕は正真正銘のSです。…と言うか、君にそんなに殴られたりした覚えはありません。僕が弱いみたいじゃないですか」
「セックスのときも涙なんて見たことないよ」
「風紀委員が風紀を乱さないで下さい」
「何で泣かないの?」
書類から目を離し骸に向けた目が若干笑っていた。そんなに泣いて欲しいのかと少し呆れた気分になり溜め息を吐いた。
「……悲しくも無いのに泣く必要はありません」
昔の自分には有り得ないほど今は幸せだった。
時々、恐くなるほどに…
「じゃあ今、別れて」
「…………」
「…って言ったら泣いてくれる?」
「……さぁ、どうでしょう」
少し笑っている雲雀に骸もクスリと笑い返す。返事が気に入らなかったのか雲雀は若干眉を寄せた。
「つまらないね…」
「そう言う君は泣くのですか?」
「…知らないよ」
話しは終わりだと言わんばかりに雲雀はまた仕事に取りかかった
「そうですか……」
---泣かない訳ではない
---ただ、泣けないだけ
泣き方を忘れた男と
泣き方を知らない男は
2人で静かに笑った…ーーーー
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骸様が泣いているとこが見たいなって思って出来ました。
でもあまり泣かないよなぁって思いました。
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