君が、笑う
派手な服に包まれ、凝ったパフォーマンスをする。常に人に囲まれ誰かを携える彼は、楽しそうだったり、嘲笑ったり。
そんな姿をいつも一歩後ろで見ていた。
「これ、貸してくれておおきに」
部活終わり、帰る仕度をしていると鞄の中に入っていた本がチラリと顔を出す。そうだった、と思いだし、跡部が日誌を書き終わったところで手渡した。
「ん?あぁ、読み終わったのか。随分早いが、もういいのか」
「おん、十分楽しませてもらったわ。三周してもうて、おかげで寝不足やで」
少し苦笑いを含みながら小さく笑う。その様子に跡部はハッ、と鼻で笑った。もしこれが宍戸だったら後ろに彼の口癖が付いていたかもしれない。
「で、今回はどうだったよ」
さっきまで日誌を書いていた跡部は椅子に手を掛けて好奇心を隠そうとせず聞いてくる。こんな跡部が見られるのはこの時と、あとは…庶民体験をしたときくらいだろうか。
「せやな…、俺は特に――」
跡部と本の内容で盛り上がるのは部室でも教室でも結構頻繁に見られる。大体が跡部が俺に本を貸し、俺が読み終わって返すといつも跡部は興味深そうに感想を聞いてくるのだ。
自分とは違う見方をしていて面白いと、彼は言った。そりゃあ跡部と俺だと全く違うだろうなとボンヤリ思った。
「あぁ、そこは俺も好きだぜ」
その場面を思いだし、少し口に手を当て小さく笑う。一緒に肩も小さく揺れた。
彼にはこんなにも綺麗に笑うことも出来るのかと、感心やらなんやらを含め、小さく、肩を揺らしながら笑った。
些細なおしゃべりで、
(笑う)
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配布元:
確かに恋だった
忍跡というより忍+跡って感じ。
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